生物資源科学科
生長し増殖する資源の理解とかしこい利用
生物資源科学科の理念は、<すべての生物は私たち人間にとって末永く共存し利用すべき貴重な資源である>という点にあります。環境を乱すことなくこの資源を利用するためには、分子、細胞、生物個体と集団そして生態系まで幅広い視点にたって、その特性を理解する必要があります。
人間活動が自然環境に深刻なインパクトを与えている現在、当学科はマルチレベルの思考と技術を身につけた若者を育てたいと考えています。生物学をやりたいがまだ具体的なことは考えつかない人、基礎生物学とその応用科学に橋をかけてみたいと考えている人、あるいは環境と生物の相互関係に興味のある人に最適な学科です。
学科スケジュール
2年生では基礎科目を中心に講義と実験を受講し、幅広い知識を有機的かつ複合的に習得します。3年生からは各研究室に分かれて所属し、専門科目と関連分野の講義を選択受講。同時に実験や演習、農場実習などに参加しながら専門性を高めていき、4年生で各自のテーマを定めて教員の指導のもと特別実験を行い、卒業論文を作成していきます。
1年生全学教育、年度末に学科を決める
2年生生物資源科学科に進学基礎科目・選択科目・実験科目を履修、2年生の終わりに研究室を決定
4月上旬 学科移行ガイダンス
学科長が、控え室とロッカー、履修講義および年間行事予定を説明する。また、各研究室教員が各研究室の概要を説明する。
5月中旬 学科移行歓迎会
学科長の所属する研究室学生が中心になって、移行生の歓迎会を生協食堂(通常は中央食堂の2階を夕方に貸し切り)で行う。各研究室の学生が余興等を行い、各研究室の様子を説明する。さらに、2次会として各研究室で飲食を準備して移行生を勧誘する。
9月下旬 生物資源科学実験の研修旅行
生物資源科学実験(必修)の一環として、札幌近郊の農業試験場、農業関連企業、自然公園等を参観する。借り上げバスに乗り、学科長の研究室教員が引率する。
1月 各研究室の紹介
3年生から所属する研究室を決めるためのガイダンスとして、1月中の生物資源科学実験の3日間、各研究室30分程度を使って各研究室の内容紹介(研究・教育内容、就職状況等)を各研究室教員が行う。
2月上旬 各研究室への分属決定
3年生から所属する研究室を学生の希望に基づき決定する。学生の希望が集中する研究室については、学生と教員の話し合いで適正数に調整する。
3年生選択科目・実験科目を履修研究室で学びつつ、学科教目を履修
4年生卒業研究・卒業論文を書く
OB・OGの進路
- 約7割の学生が大学院に進学します。
- 主な就職先は国や北海道の試験研究機関の研究員や国・地方公共団体の行政員。
- 民間では、農業、園芸関係、各種コンサルタント会社など専門職や幅広い知識を持った総合職として活躍しています。
卒業後の進路
平成26 年度(36 名)
【就職先】
横浜市役所、愛知県経済農業共同組合連合会、サンゲツ、きちり
【他大学進学】
北大公共制作大学院、北大環境科学院、東京大学大学院、総合研究大学院
平成25 年度(40 名)
【就職先】
札幌市役所、JTB、あすか製薬、サカタのタネ、JT たばこ産業、横浜植物所防疫所
【他大学進学】
北大生命科学院、東京大学大学院
平成24 年度(38 名)
【就職先】
和歌山県庁、アサヒビール、
【他大学進学】
北大生命科学院、東京大学大学院
卒業生の声
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be(curious)!
キャンパス内の圃場が育んだ「作物」への興味
生物資源科学科 卒業内野 宙独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 畜産飼料作研究領域 飼料グループ -
“健康”と”生物学”への関心から、生物資源学科・植物病害の研究へ
生物資源科学科 卒業三澤 知央北海道立総合研究機構 道南農業試験場 研究部 生産環境グループ -
be(楽しむ)!
全国の国立公園を調査、東北にも新しい公園を!
生物資源科学科 卒業佐々木 真二郎環境省自然環境局国立公園課 -
be(polepole
(ゆっくり))!アフリカ諸国で蚊の採集調査や遺伝的解析を継続中
生物資源科学科 卒業二見 恭子長崎大学 熱帯医学研究所 病害動物学分野 特任助教 -
be(しなやか)!
美しい緑のキャンパスを共有した仲間が頑張る源です
生物資源科学科 卒業太田 愛子沖縄県 農林水産部 病害虫防除技術センター -
be(junkie)!
「誰も知らない真実を知る」快感は一生忘れられません
生物資源科学科 卒業大澤 央農研機構 北海道農業研究センター 水田機械作業グループ
学科での学び
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イネ、ムギ類、トウモロコシ、マメ類などの主要な食用作物を対象として、圃場(畑)での生産性を理論的、実証的に学びます。特に、これらの作物が干ばつや湿害、そして低養分といった環境ストレスに遭遇した際の応答メカニズムの理解を通じて、不良環境下における作物の生産能力改善を目指します。札幌農学校時代から研究されてきた伝統ある学問分野です。
キーワード: 食料生産,作物 -
高等植物(作物)の発生や生育現象を、生理学、生化学、分子生物学の視点でとらえます。中でも、植物の形態形成や様々な環境応答を制御する植物ホルモンなどのシグナル物質と、シグナル物質に反応して働く遺伝子について学びます。また、長年培ってきた組織培養技術を応用して、希少植物の人工増殖も行います。
キーワード: 作物,バイオテクノロジー -
真菌類、細菌類などの微生物には、植物に対し病原性を有する種類が存在します。これらが引き起こす病害の発生機構を解明して防御方法を確立するため、病原微生物の分類、性質及びそれらを取り巻く生物的あるいは非生物的環境との関係を学びます。
キーワード: 育種・品種改良,植物と微生物の関係 -
園芸作物の基本的な性質を明らかにし、日本での生産や利用に活用することを目指しています。主に、組織培養法による栄養繁殖、有用な遺伝資源の増殖・保存、細胞・組織培養法や組み換え技術の新品種育成への応用、機能性成分に関する基礎的な内容を学びます。
キーワード: 植物,資源作物 -
観賞植物や地域の野生植物について増殖・維持・管理の方法、および、それらの保全と景観や緑化への利用方法を学びます。また、海浜や山岳地域の保全と利用、都市公園や自然公園の計画や管理について学びます。このような研究を通して、都市や自然地域での快適な空間の創造を目指します。
キーワード: 植物資源,人間活動と環境資源学 -
動物全般を対象とします。主に生物個体や個体群のレベルで起こる、生物と環境の関係や生物同士の相互作用を理解するための生態学を学びます。個体数の変動を環境や同種・他種との相互作用から分析する個体群生態学、個体群の成り立ちや環境適応のあり方を解明する集団遺伝学、動物の行動を適応の観点から解析する行動生態学、進化の歴史を含めて生物現象を解析する進化生物学など、さまざまな研究テーマを扱います。対象は魚類、昆虫をはじめ多種多様で、実際の生物を使わずにコンピューターシミュレーションなどを用いる研究も行います。
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多様性に富んだ昆虫類を対象にして、生物の進化、系統学、分類学、生態学、行動学の切り口で、各自が学び、研究を発展させることができます。あらゆる昆虫類を材料にして、フィールドワーク、室内・野外実験、生物進化の解析方法を習得できます。札幌農学校時代から蓄積してきた膨大な昆虫標本類を生かした教育・研究に特色があります。
キーワード: 昆虫,種と群れと個体 -
私たち人間は、植物をさまざまな態様で利用して暮らしています。その背景には、植物の持つ、遺伝資源としての多様性があります。こうした植物の持つ遺伝形質の多様性がどのような仕組みで生じているのか明らかにする教育・研究を行っています。また、遺伝子組換え、ゲノム編集、エピジェネティクスを含む、多岐にわたる技術と機構を活用し、新たな植物の遺伝資源を創生しています。
キーワード: 植物資源,遺伝 -
遺伝子発現はさまざまなレベルで精巧に制御されている。植物を研究材料として、エピジェネティクスを含む複雑な遺伝子発現制御の機構を研究している。また、研究の過程で得られる知見に基づき、植物の分子育種に利用可能な技術を開発している。これらのことを基盤として、花の模様形成など、植物成分のもたらす様々な事象を理解し、利用する研究、ならびに、ウイルスや糸状菌に対する植物の抵抗性に関する研究を展開している。
キーワード: 育種・品種改良,植物と微生物の関係 -
ウイルス(Virus)とウイロイド(Viroid: 低分子核酸病原体)は、作物の病原体として重要であるだけでなく、生物ゲノムの構造と機能を解析する基礎的な研究にも深くかかわっています。
植物病原学では、ウイルスやウイロイドの構造、複製と情報発現、引き起こす病気とそれらに対する作物の抵抗性の分子メカニズムを学びます。それらを活かした、ウイルス・ウイロイド病の診断・防御、さらには生物工学的な利用に取り組みます。
キーワード: 植物資源,植物と微生物の関係 -
植物ゲノム科学研究室では、遺伝学とゲノミックスの手法を用い遺伝資源とその野生種に存在する遺伝的多様性を解明し、品種改良を目指しています。また、全ゲノムシーケンスの一塩基多型を検出し、形質との関連性を探っています。
キーワード: 遺伝学 ゲノミックス