生産から消費まで、農学と経済社会をつなぐ総合科学

世界の現在の人口は70億人、2025年には80億人となると予想されています。その時、食料や人間をとりまく自然環境はどのようになっているのでしょうか。飽食の一方で飢餓が生まれる世界経済のゆがみ、食料増産の一方で枯渇する生物種や土壌・水などの生産資源、豊かな農地を持ちながらも食料を海外に依存する日本の現状…どのようにしたら、私たちはこうした問題を解決することができるのでしょうか。

これからの時代、多様な農業形態を再評価しながら、人間と自然との共生を取り戻すことが求められています。そのための問題解決と新たな枠組みづくりを担っていくこと。これが農業経済学の役割であり、私たちの研究の目指すところです。皆さんは、本学科のさまざまなゼミナール活動に参加し、自分の研究課題に取り組みながら、幅広い知識と科学的な世界観を身につけることができます。

チェック!

  • 農業経済学科は下記の9分野から構成されています。

  • 理系の農学に、経済という文系の視点を用いる《文理融合》が最大の特徴。

  • 北海道独自の大規模農業や日本固有の協同組合など、農業経済を通して北海道や日本、世界のありようを再確認できる研究分野です。

  • 本学科のルーツは、旧五千円札の”顔”になった新渡戸稲造教授。一世紀を超える《伝統と先見性》が今も途切れることなく受け継がれています。

  • 農業経済学科独自の充実した図書室があり、専門の図書職員もいます。 設置当初の蔵書寄贈者の名前にちなんで「ウエストコット・ライブラリー」とも呼ばれています。

学科スケジュール

農業経済学に必要な経済学はもちろん、法学や社会学、歴史学、地理学、統計学などの基礎科目は1年次の一般教育課程で履修できますが、農業経済学科ではさらに、これらの応用科学や農学の基礎科目をカリキュラムに組み込んでいます。農業・食料・環境資源に関する自然科学的知識を身につけたうえで食料・農業・農村をめぐる社会経済問題の本質に迫ります。

ゼミでの議論の様子

1年生全学教育、年度末に学科を決める

2年生農業経済学科に進学
基礎科目・選択科目・実験科目を履修
年度末に研究室を決める

4月

2年生向け学科オリエンテーション
2年生学科移行歓迎会

6月

札幌近郊での日帰り見学研修
(農業経済学特別講義の一部として)

7月

栗山町での農村宿泊研修(農村調査実習として)

3年生前期から研究室に所属、選択科目・実験科目を履修

4月

各教員ゼミ配属のガイダンスと教員ゼミ配属の決定

4年生卒業研究・卒業論文を書く

8月

大学院前期入試

1月

卒論発表会

2月

大学院後期入試

3月

卒業式(学位記授与式)


進学・就職

  • 戦前では北大唯一の文科系学科であったこともあり、卒業生は各業種・各分野で活躍。
    他方、学生の4分の1が大学院に進学。

  • 経済学という基盤に応用力と理系の知識が加わった《文理をまたいだ学び》が各就職先から高く評価。

  • 《文理をまたいだ学び》などにより就職先は広く多様。これまでの就職先は、農林水産省、都道府県、市町村などの諸官庁、農林漁業金融公庫など政府系団体、農協連合会、食品メーカー、農業資材メーカー、商社、百貨店、スーパー・マーケット、生協、銀行、証券会社、新聞、テレビ、情報、住宅関連等の民間会社、中高教員など。

卒業後の進路

平成26 年度(28 名)

【就職先】
農林水産省、札幌市役所、三菱UFJ信託銀行、楽天、農林中央金庫、JA北海道中央会

【他大学進学】
北大経済学研究科、東京大学大学院、海外大学院

平成25 年度(20 名)

【就職先】
農林中央金庫、三井住友銀行、みずほFG、札幌信金、伊藤忠商事、全農三重県本部

【他大学進学】
北大公共政策大学院、東京大学大学院

平成24 年度(26 名)

【就職先】
札幌市役所、日本郵便、富士通、京セラ、ニトリ、日本糖業、日立物流、北海道農業会議

【他大学進学】


卒業生の声


学科での学び

  • 農業環境政策学
    Agricultural and Environmental Policy

    日本農業は過保護だと言われてきましたが、保護の基準・内容とは一体どのようなものでしょうか。欧米の先進国も、発展途上国も、また社会主義国も、様々な農業保護政策を採用しています。なぜ、農業は農業政策という特別な政策を必要とするのか、その政策はどの様な内容であるのか、その政策効果はどの程度あるのか。現代における農業問題の政策対応を、環境問題に配慮しつつ、実証的に学びます。その際のスタンスは、全経済の中での農業の役割と政策効果を評価することです。農業の環境問題を中心に、農産物の市場開放による国際貿易問題、また、諸外国の農政比較を行います。最近では酪農における環境評価、農業・農村の多面的機能評価とその国際比較、WTO、FTAによる農業生産物貿易の影響分析、気候変動が農業に及ぼす影響の経済評価などを扱っています。農業・農村の多面的機能評価研究のためにフィールド調査にも取り組みます。

    美しい農村環境の維持には、持続可能な農業・環境政策が必要。
    キーワード: 農村の振興と施策,人間活動と環境資源
  • 農業経営学
    Farm Business Management

    日本には様々な形態の農業経営が存在していますが、それらの農業経営が持っている条件、例えば土地、労働力、資本などの規模および性格を把握して、高い収益を獲得している経営形態のあり方について理解を深めます。土地、労働力、資本といった要素をいかに組み合わせて組織化するか、さらには高度情報化(HIT)という第4の経営要素をどのように経営の中に採り入れるべきか、農業経営を持続させていく近代的な経営管理の方法の確立など、企業的な農業経営を確立することに関連する様々な問題に取り組みます。また、力強い農業経営の確立のために、北海道や府県農業のみならず世界の農業経営群をも理解する必要があります。農業経営学の特徴は、日常的に文献資料を通じて最新の研究成果を摂取することにとどまらず、国内外の農村でのフィールド・ワークを通して実証的に学んでいくことにあります。

    農業経営の分析には、実態調査が欠かせない。
    キーワード: 食料生産,農村の振興と施策
  • 開発経済学
    Agricultural and Rural Development

    経済成長と農業の関連について、日本の経験は何を意味しているのでしょうか。この課題について、今日の低開発地域の経済開発を念頭に置いて学びます。日本農業の技術開発と新技術移転、普及の社会・経済的メカニズムを理解することが重要となります。また、一国経済を農業、非農業の2部門にわけて、相互の関係を理論的、実証的に究明することも必要で、内外デュアリズムや内生的経済成長モデルを理論的に検討します。近年は、ネパール、バングラディシュ、パキスタン、ラオスなどを対象としたフィールド・ワークを通じ、農業発展のメカニズムの解明、新農業技術普及の要因分析を試みています。ネパールやラオスでは換金作物栽培の普及、灌漑施設など地域公共財の自発的供給メカニズム、バングラディシュではアントロポメトリクスの手法を駆使した貧困水準の定量的評価、パキスタンではGISを用いて塩害・湛水制御プロジェクトに関する経済的評価分析を行っています。また、わが国を対象として農業成長の源泉を、土地改良投資、教育、農業技術普及、R&Dとそのスピル・オーバーに求める計量経済学的実証研究などにも取り組みます。

    発展途上国におけるフィールド調査も、実証研究には欠かすことができない。
    キーワード: 流通・市場と経済の仕組み,食料生産
  • 協同組合学
    Agricultural Cooperatives

    わが国で唯一、協同組合に特化して学ぶことができます。協同組合は営利企業、公共企業と並ぶ第三の企業体であり、主として小生産者や消費者などの経済的弱者が協同の力によって規模の経済を実現し、市場競争の中で存立するための経済組織です。農業や漁業は基本的に協同組合方式で営まれており、都市の消費者も生活協同組合を組織して流通に参入していることを考えると、協同組合は農業経済学の重要な研究分野です。
    協同組合は国際的にも多様な分野に進出し、その組合員は7億6千万人と世界人口の8分の1に達して世界最大のNGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)になっています。そして、先進国での雇用問題や環境問題、発展途上国での自立的な経済開発、また旧社会主義国での経済再建など、政府や営利企業だけでは解決し得ない現代の難問に対して、協同組合が果し得る役割への期待が高まっています。このような情勢をふまえて、国内、国外の協同組合経済について理論的、実証的に学んでいきます。

    キーワード: 農村・山村・漁村社会,流通・市場と経済の仕組み
  • 食料農業市場学
    Food and Agricultural Marketing

    1964年誕生の、農業経済学科の中では一番新しい分野ですが、全国的にはもっとも古くから農業市場・農産物流通を学問として扱ってきました。豊富な研究蓄積があり、現在では、北海道大学農学部は日本の農業市場に関する学問研究の中心的な役割を担っています。食料農業市場学では、農産物市場、農業資材市場など農業を取り巻く関連諸市場の構造と農業マーケティングの方法、条件を学びますが、農業の構造変動とともに重点的に扱う内容も変化してきています。1964年以降しばらくは、農産物品目別の市場・流通の構造分析と、主生産地形成・共同販売など農業者の市場対応分析を中心に取り組んでいました。その後、輸入食料、加工食品などの食品産業が作り出す市場構造、農業資材、土地、労働力など農業の要素市場の分析が加わり、対象となる領域が広がってきています。さらに最近では、不安をます国際食料市場の動態把握や各国の農業市場制度のあり方について、国際調査を踏まえて理解を深めています。有機農業、循環的農業、地場加工や産直など、地域に軸足を置いた市場構造についても学びます。

    講演する飯澤教授。社会への情報発信も重要。
    キーワード: 流通・市場と経済の仕組み,加工・食品
  • 地域連携経済学
    Socio-Economics of Rural Network and Development

    主な研究課題:農村・農業における協創的ネットワーク形成、農村地域マネージメント主体、農産物の品質認証制度

    キーワード:
  • 食資源経済統計学
    Agro-food Economics and Statistics

    食料・農業・農村に関連する諸問題は、データ抜きに考えることはできません。取り扱うデータは、農産物の価格や生産量、作付面積などの数値データのほかにも、農産物が「美味しい」、農村景観が「好ましい」というような、人々の嗜好を表す質的データなどがあります。こういったデータは、それぞれの特徴に応じた適切な手法によって分析していく必要があります。食資源経済統計学分野では、アンケート調査や観察されたデータから、その背後に潜むメカニズムを見つけ出し、問題解決に向けた取り組みを行っています。そのため、扱う対象は農業経済学がカバーするほとんどの分野に及びます。最近の研究テーマを挙げれば、農家の離農に関する統計解析、耕作放棄地抑制に関する政策の効果、農業への企業参入特区が地域経済に与える影響、食に関する事件・事故と食品関連企業の株価変動、農業・農村がもたらす多面的機能の経済的価値評価など、幅広いテーマを取り扱っています。この他にも、時系列分析に関する統計モデルの開発や、オープンソースの統計解析環境Rで利用可能な統計解析パッケージの開発も行っています。

    キーワード: 農村の振興と施策,流通・市場と経済の仕組み
  • 農資源経済学
    Agricultural Resource Economics

    主な研究課題:遺伝資源の多様性と農業生産の発展に関する研究、新品種の農家採用意向と消費者受容に関する分析、遺伝資源の利用から生じる経済的便益の配分に関する研究

    キーワード:
  • 協同組合のレーゾンデートル
    Cooperative’s Reison D'être

    主な研究課題:協同組合の農業・農村振興に果たす意義や機能、消費者との協同組合を通じた連携についての研究

    キーワード: