応用生命科学科
広く学び、深く究める
応用生命科学科は、人間にとって価値ある生命現象を発見し、利用するため、特に生物生産にかかわる現象を遺伝子や分子レベルで探究する教育研究分野の集まりです。生命科学に対する社会的な期待が急速に膨らんでいる中、私たちは第一線でそれに応えることのできる人材の育成に力を注いでいます。
学科スケジュール
2年次では基礎的な生命科学を学び、3年次の前期にかけてその基礎知識を、各研究室が行っている研究と結びつく応用生命科学実験・化学実験・生物実験を通して実際に確かめていきます。3年次の後期に各研究室に分属したときにはテーマが決まり次第、卒業研究にすぐ入ることができる科目配置となっています。
1年生全学教育、年度末に学科決定
2年生応用生命科学科に進学基礎科目・選択科目・実験科目を履修します。
前期
- 必修科目で生命科学の基礎を学びます。
- 学科について詳しく知る機会として、新入生歓迎会やオリエンテーションが行われます。
後期
- 多様な生命現象を理解するため、より専門性の高い講義を履修します。
- 週5日の実験科目で、実験技法の基礎をしっかりと学びます。
化学実験(トウガラシからカプサイシンの精製、ルミノール試薬の有機合成など)
応用生命科学実験(酵素の生産精製と機能解析、プラスミド解析、植物の転写後遺伝子発現解析など)
3年生選択科目・実験科目を履修
前期
- 2年時に引き続き、専門科目・実験科目を履修します。
応用生命科学実験・生物学実験(植物の表現型と遺伝子解析、バイオインフォマティクス基礎、核酸実験の基礎など)
- 文献精読やプレゼンテーションなど、研究に必要な技能を演習で学びます。
- 分属する研究室を決定します。
後期
- 各研究室に分かれて実験や演習を行います。
4年生卒業研究・卒業論文各研究室の研究内容に沿った卒業研究を行い、卒業論文を執筆・発表します。
OB・OGの進路
- この分野は広範で進歩が速いため、「さらに高度な教育を受けることが望まれている」背景から
約8割の学生が大学院に進学します。
- 大学院進学中、8割が本学の農学研究院を選択しています。
- 就職先は種苗、バイオテクノロジー、食品、発酵、医薬品、農薬、化学関連会社の研究者・技術者、また農林水産省、経済産業省、都道府県庁の研究職・技術職あるいは行政職、中・高校の教員など。
卒業後の進路
平成26 年度(32 名)
【就職先】
北海道庁、北海道漁業協同組合連合会、サントリーホールディングス
【他大学院進学】
北大工学院、北大生命科学院、東京大学大学院
平成25 年度(35 名)
【就職先】
北海道庁、農林水産消費安全技術センター、バンダイ
【他大学院進学】
北大生命科学院
平成24 年度(31 名)
【就職先】
北海道庁、北海道警察、札幌市役所、ニトリ、富士通
【他大学院進学】
東京大学大学院、京都大学大学院
卒業生の声
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be(enjoyable)!
昆虫研究で習得、目的達成術をトヨタで発揮
応用生命科学科 卒業小松 優太トヨタ自動車株式会社 品質保証部 企画統括室 -
be(自分らしく♪)!
あきらめない心で美味しいビール造りに挑戦中!
応用生命科学科 卒業鐘ヶ江 倫世サッポロビール株式会社 北海道工場製造部 -
be(happy)!
研究室時代の経験を糧に北海道産米の育種に貢献!
応用生命科学科 卒業池ヶ谷 智仁独立行政法人 農業食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター 寒地作物研究領域 -
be(simple)!
遺伝子工学的手法に惹かれて応用生命科学科へ
応用生命科学科 卒業原 新太郎北海道大学農学院 応用生物科学専攻 博士課程 -
研究室で培ったチームとしての課題解決力を活かして
応用生命科学科 卒業原口 雄飛福岡県農林業総合試験場 農産部 麦類育種チーム -
be(パイン王)!
やる時はトコトンやるのです
応用生命科学科 卒業與那覇 至沖縄県農業研究センター石垣支所 主任研究員
学科での学び
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生物の遺伝的改良を、人間の生活のため自然との調和の下におこなうのが育種です。植物育種学は、中核となる遺伝学を基礎とし、最新の生物工学的な手法も取り入れた応用科学で、生物の遺伝的管理について学びます。関連する分野として分子遺伝学、細胞遺伝学、進化学、植物生理学、植物病理学、細胞生物学、生態学、生化学、統計学が重要です。植物育種学は、人間の福祉に直結する栽培植物を対象にしています。北海道大学農学部は、我が国で最初に育種学を開講した伝統があります。
キーワード: 遺伝,育種・品種改良 -
生物が子孫を残す過程を生殖といいます。自由に動けない植物は、動物とは異なる独自の生殖機構を進化させてきました。遺伝子制御学では、植物独自の機構を構成する遺伝子と、それらの間を結びつける制御機構に関わる研究を進めています。そうしたシステムの全体像を明らかにすることは、植物の遺伝的ポテンシャルの開発を計画するうえでも欠かすことができません。分子遺伝学、生化学、遺伝資源学、あるいは細胞培養や形質転換等のバイオテクノロジー的手法を取り入れながら、新たな学問分野を開拓することを目指しています。
キーワード: 遺伝,バイオテクノロジー,ゲノム -
昆虫は、生命の多様性を理解し、利用するための貴重な遺伝資源です。応用分子昆虫学では、カイコを始めとする昆虫と昆虫病原微生物およびその相互作用を対象に、遺伝子‐細胞-個体レベルで遺伝情報の発現制御メカニズムを学び、その原理を深く理解することで、有用物質の生産や害虫防除などの生物生産・制御に応用していきます。
キーワード: 昆虫,バイオテクノロジー -
生物界に見られる様々な生命現象は、複雑な遺伝子発現制御のネットワークの上に成り立っています。分子生物学では高等植物の興味深い生命現象をとり上げ、そこに関わる遺伝子発現の制御機構を学ぶと同時に、生物生産の場での応用を目指します。
キーワード: バイオテクノロジー -
生物が持つタンパク質は、アミノ酸から構成される生体高分子であり、その役割から2つに分類できます。1つは細胞骨格などを形成する構造タンパク質です。他方は細胞において機能を発揮する機能タンパク質であり、酵素や受容体(ホルモンなどの)などを例示できます。
当学科では、機能タンパク質の中で特に優れた生体触媒である酵素を研究しています。生命現象のほぼ全ては酵素によって行われるため、極めて重要な生体分子です。その優れた触媒機能は、アミノ酸自身やそれらにより作られた部分的な構造体に由来します。従って、アミノ酸や構造体の置換・削除・構築により画期的な機能を持つ新しい酵素分子を作り出すことができます。この新技術(タンパク質工学と称す)を駆使することで、酵素の新たな機能の開発や利用価値の高い酵素分子のデザインを行うために必要な基本知識や最新技術を学びます。
キーワード: バイオテクノロジー,酵素 -
生命体の分化や複雑な相互依存システムの形成に深く関わっている、植物や微生物の環境応答やシグナル伝達機構を理解するために、生物間相互作用に関わっている生理活性物質とその受容体を介した生命現象を学びます。このような生物間の認識機構を生命現象研究ツールや農業上の作物保護などに応用することを目指します。
キーワード: 植物と微生物,生物の有機化合物 -
主な研究課題:本研究は、以下に記載した3つの研究テーマの遂行を通して、バイオ燃料生産技術の発展と開発を目指す。⑴キバチ等の森林害虫の共生微生物群のメタゲノム解析を通して、新規バイオマス分解微生物種の同定を試みる。メタゲノム情報取得後は、メタ環境下での転写産物およびタンパク質発現の網羅的な解析を行うことにより、自然界における植物バイオマスの分解メカニズムに迫る。⑵これらメタオミックスデータや報告されているパブリックデータベースを基に、難培養性微生物種がコードするバイオマス分解に関連する有用酵素を探索し、組換え酵素の作成を行い詳細な機能を明らかにする。⑶標的分解酵素ファミリーの分子系統樹を作成し、網羅的にタンパク質合成ならびに機能決定を実施する。これらの情報を統合し、バイオマス分解活性を強化した多機能性酵素を創出する。