現在進行中または完了した農学研究院研究プロジェクトのいくつかを紹介しています。

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生物資源科学科

(進行中)JST未来社会創造事業「群集心理と混雑感のモデリング」(2020~2024年度)

愛甲 哲也(生物資源科学分野 花卉・緑地計画学研究室・准教授)

群集事故を防ぎ、すべての人が安心して移動できるように、個人やグループの属性を加味した移動情報サービスをひとりひとりに提供するシステムの実現を目指すプロジェクトにおいて、私たちは公共空間における来訪者の混雑感の計測と、情報提供・群集制御方法の検討に関する研究を分担しています。

 

(進行中)科研費・基盤研究(B)「水分動態およびソルビトール代謝機能に着目したリンゴみつ症果発生要因の解明」(2021~2023年度)

鈴木 卓(生物資源科学分野 園芸学研究室・教授)

リンゴのみつ症果発生は、ソルビトールを含む樹液の流動と関連がある。そこで、果実の水分動態を基軸にリンゴのみつ症果発生メカニズムを解明し、高品質リンゴ生産へ応用する基盤の構築を目指して研究中である。

 

(一部進行中)北海道産オーダーメイド作物による食と環境の調和に向けた挑戦(ダイズ:令和4年3月31日終了、ジャガイモ:令和6年3月31日終了予定)

山田 哲也(生物資源科学分野 植物遺伝資源学研究室・講師)

北海道は日本の食料基地です。バイオテクノロジーを利用した新しい品種の作出は、人々が今よりもっと安心かつ豊かな生活を送ることに貢献できると考えます、私たちは、産官学一体となって北海道農作物の革新的な改良技術の開発を進めるとともに、それらを通して生み出される農作物の新たな価値の創造を目指して研究を進めています。

 

応用生命科学科

(進行中)科研費・基盤研究(B)「アフリカのイネジーンプールに潜在する有用遺伝子の計画的利用に向けた種間雑種戦略」(2021~2024年度)

小出 陽平(応用生命科学分野 植物育種学研究室・准教授)

将来にわたり食糧を安定的に確保するためには、未利用の遺伝資源を最大限に利用して、新しい品種を開発することが重要です。この研究では、これまでにほとんど利用されていないアフリカ原産のイネに着目して、有用な遺伝子を明らかにするとともに、アジアのイネに効率的にアフリカイネの遺伝子を取り込む手法を開発します。

 

生物機能化学科

 

 

森林科学科

(進行中)科研費・基盤研究(A)「人工多糖類マトリックスを用いたリグニン成長反応の解明」(2021~2025年度)

浦木 康光(森林科学分野 木材化学研究室・教授)

樹木中でリグニンを生成し多糖類に膠着することを“木化”と呼ぶように、リグニン形成は陸上植物の細胞壁の構築において極めて重要な過程です。しかし、リグニンが巨大分子化する“成長反応”については、未だ解明されていないことが多々あります。

 本課題では、ポプラで発見した細胞壁ペルオキシダーゼ(酵素)を用いて、リグニンの形成過程、特に、成長反応を解明することを目的とし、初期細胞壁を模倣したセルロースとヘミセルロースからなる“多糖類マトリックス”を人工的に再現し、この環境下でのリグニン形成過程をリアルタイムで追跡し、その成長反応の実態を明らかにします。

 

(進行中)科研費・学術変革領域研究(B)「活イオン液体の溶解能・触媒能の本質的理解に基づく「有機化学」反応場の創成」(2023~2025年度)

鈴木 栞(森林科学分野 木材化学研究室・助教)

水でもなく有機溶媒でもない、第三の液体と呼ばれる「イオン液体」の定義は、カチオンとアニオンのみからなる、融点が概ね   100 ºC以下の物質群(溶融塩)を指します。イオン液体を反応場(反応溶媒・触媒)とする様々な有機合成は、近年急速に発展している分野です。本課題は、このイオン液体をも凌駕する新奇液体材料群、「活イオン液体」について、有機化学的な視点からその基礎学理を構築し、既存反応場では成し得ない“溶解”や“化学反応”の創出を目指します。

畜産科学科

(進行中)初期胚細胞分化機構の理解に基づく新しいウシ受精卵作製法の開発(~2023年度)

川原 学(畜産科学分野 遺伝繁殖学研究室・准教授)

何百キロにもなる大きな体のウシも、元はミクロの受精卵から作られます。個体発生は、生命科学分野で最も面白い研究領域の一つです。一つ一つの謎を解き明かし、ウシ受精卵の新しい作製法開発を目指します。

 

生物環境工学科

(進行中)科研費・学術変革領域(A) 「地球システムモデルによる生態系環境適応が気候へ与えるフィードバックの解明」(2021~2025年度)

加藤 知道(連携推進分野 陸域生態系モデリング研究室・准教授)

陸域および海洋生態系の物質循環プロセスが含まれる我が国で開発されているフラッグシップ地球システムモデルMIROC-ES2Lによるモデル実験や、国際気候モデル間比較プロジェクトCMIP6の結果を統合解
                 析することで、生態系と気候変動の間の相互作用を動的に解明しま
                 す。

 

(進行中)科研費・基盤研究(A)「微生物はなぜ乾燥に耐えられるのか?微生物細胞のガラス転移による乾燥適応機序の解明」(2021〜2023年度)

小関 成樹(生物環境工学分野 食品加工工学研究室・教授)

乾燥食品(環境)において微生物が長期間にわたり生残するための乾燥ストレス耐性を獲得するメカニズムを、微生物細胞のガラス転移現象に焦点を絞り、その物理的状態の変化の観点から明らかにする。食中毒細菌の制御から有用細菌の安定保存までを可能とする科学的な基
                 盤を構築することを目的とする。

 

(進行中)生研支援センター イノベーション創出強化研究推進事業(開発研究ステージ)「電動ロボットによるスマートぶどう栽培システムの開発」(2021~2025年度)

野口 伸(生物環境工学分野 ビークルロボティクス研究室・教授)

ビークルロボティクス研究室は研究開発コンソーシアムを構成して、垣根仕立ての醸造用ブドウ向けにスマート栽培システムの開発を行っています。ロボットの電動化を進めて温室効果ガスの削減を図るとともに、データ駆動型栽培技術とロボット技術を融合することで人間にやさしいブドウ栽培のSociety5.0を目指しています。

 

(進行中)科研費・基盤研究(S)「熱帯泥炭林のオイルパーム農園への転換による生態系機能の変化と大気環境への影響」(2019~2023年度)

平野 高司(生物環境工学分野 生態環境物理学研究室・教授)

マレーシアの熱帯泥炭林のオイルパーム農園への転換の様子。泥炭林 
(a)が皆伐された後に,作業道と排水路が掘削される(b)。
その後,オイルパームの苗木が植えられ(c),数年後には成熟する
(d)。この過程で,多くの二酸化炭素が大気へ放出される。

 

(進行中)科研費・基盤研究(A) 「熱帯林における太陽光誘起クロロフィル蛍光による光合成量の観測とモデル化」(2022~2025年度)

加藤 知道(連携推進分野 陸域生態系モデリング研究室・准教授)

マレーシアのパソ保護林において、新しいリモートセンシング植生指標である太陽光誘起クロロフィル蛍光を測定し、世界でも非常に貴重な熱帯林の光合成速度をリアルタイムに観測します。同時にそれを再現するシミュレーションモデルを開発し、炭素吸収量の正確な推定を目指します。