参加機関:北海道大学(農学研究院,北方フィールド圏)、京都大学、国立環境研究所、東北大学、
     海洋研究開発機構

農学研究院 加藤 知道 准教授(陸域生態系モデリング研究室)

概要

 人工衛星から観測することができる太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)は、生態系光合成量(=生態系CO2吸収量)の高精度な推定に利用できると考えられているが、そのSIF観測精度を長期的にさまざまな生態系タイプにおいて検証するための地上観測データが非常に乏しいという問題があります。特に熱帯林は、単位面積当たりの光合成速度と森林炭素蓄積量がとても高く、グローバルな炭素循環において非常に重要であるにも関わらず、湿潤で雲がかかっている時間が多く、人工衛星では欠測してしまうため、ほとんど利用可能性が不明でした。そこで私たちは、マレーシア・パソ保護林に設置されてある高さ52mの渦相関フラックスタワーにおいて、SIFおよび生態系光合成量を観測するとともに、3次元放射伝達モデルFLiES-SIFおよび生態系炭素・窒素循環モデルVISIT-SIFを利用し、アジアの代表的な熱帯林におけるSIF検証体制を確立することを目指しています。本研究で熱帯林サイトを設置することで、現在整いつつある日本チームによる地上SIF観測ネットワークが、東アジアの代表的な生態系タイプをおおよそカバーすることとなり、世界的に注目されることが期待されます。

研究プロジェクトメンバー

研究代表者

  • 加藤 知道(北海道大学・大学院農学研究院・准教授)

研究分担者

  • 小杉 緑子(京都大学・農学研究科・教授)

  • 中路 達郎(北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・准教授)

  • 宮内 達也(北海道大学・農学研究院・特任助教)

  • 野田 響(国立環境研究所・地球システム領域(衛星観測研究室)・主任研究員)

  • 両角 友喜(国立環境研究所・地球システム領域(衛星観測研究室)・特別研究員)

  • 彦坂 幸毅 (東北大学・生命科学研究科・教授)

  • 冨松 元 (東北大学・生命科学研究科・助教)

  • 小林 秀樹(国立研究開発法人海洋研究開発機構・地球環境部門・北極環境変動総合研究センター・北極化学物質循環研究グループ・グループリーダー代理)

 

図1 観測サイト設置の様子
図2 渦相関観測タワー頂上からの写真(地上52m)