農学院環境フロンティアコース土壌学研究室 安黒守敬さん、島田かさねさん、吉村元博さんが日本土壌肥料学会2022年度東京大会で若手ポスター発表優秀賞を受賞
日本土壌肥料学会2022年度東京大会(2022年9月13日~15日)において、農学院環境フロンティアコース土壌学研究室の安黒守敬さん(修士1年)と島田かさねさん(修士2年)、吉村元博さん(社会人D1)が若手ポスター発表優秀賞を受賞しました。島田かさねさんは昨年に続く連続受賞となりました。(参考トピックス:https://www.agr.hokudai.ac.jp/i/topic/7738)
日本土壌肥料学会2022年度東京では、若手研究者による研究活動の奨励を目的として若手研究者によるポスター発表優秀賞を設けています。本年度は東京農業大学にて3年ぶりに現地開催となりました。発表の内容やコアタイムでの議論等に基づく審査の結果、約150件のポスター発表の内、若手発表者から選ばれた9件の受賞ポスターの3つに選ばれました。安黒さん、島田さん、吉村さんの今後の活躍が期待されます。
発表演題:
「無人航空機空撮画像と物体認識深層学習モデルによる放牧地の糞検出と分布認識」
○安黒守敬・森昭憲・金子真・秋山雄希・上野秀人・倉持寛太・波多野隆介・当真要
放牧地の物質循環の一部を担う牛糞は家畜行動によって偏在するため、継続的に牛糞の時空間的変動を把握することは困難ですが、近年発展の著しいドローン空撮画像を用いた物体認識深層学習モデルによる物体検出は新しい測定手法となる可能性があります。本発表では北海道、栃木、愛媛、熊本でドローンによる高度10m及び30mの放牧地空撮画像を収集し牛糞判定の学習モデルを作成しました。その結果、傾斜地での高度差の補正に課題は残りますが、最高で90%程度の検出精度になるモデルを作成ができたことから、本手法により広大な放牧地の家畜糞分布を簡便・高頻度で測定可能になる可能性が示されました。
「無肥料無農薬水田における多数回中耕除草が温室効果ガス排出に与える影響-連続した2年間の結果-」
○島田かさね・浪江日和・趙双双・当真要・石黒宗秀・波多野隆介
北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの無肥料無農薬水田で2020年から2021年にかけて多数回中耕除草が水田からの温室効果ガス発生に与える影響を調べました。化学肥料や除草剤を使った慣行栽培には劣りますが、栽培期間中に中耕除草を行うと稲の生育や収量が増加していました。無肥料無農薬栽培では、中耕除草により稲の生育が改善しても土壌の炭素の減少や温暖化促進の寄与が高くなる可能性が示されました。
「有効土層を考慮した土壌質指標によるバレイショ圃場生産性評価」
○吉村元博・前塚研二・小川ひかり・当真要
土壌質指標(SQI)を用いてバレイショの生産性を評価する新しい指標の有効性を検証しました。その結果、SQI算出に用いる項目は交換性Ca含量やpH、固相率等の土壌理化学性が重要であることが示され、また有効土層の厚さ次層の土壌理化学性を考慮することで母材堆積様式や有効土層の異なる多様な圃場での作物生産性評価として用いる事ができる可能性が示唆されました。