日本土壌肥料学会2026年度東北大会にて農学院生産フロンティアコース修士課程2年の野別花さん(作物栄養学研究室)および修士課程2年の菅沼真紀さん(土壌学研究室)が若手口頭発表優秀賞を、修士課程2年の新田智美さん(作物栄養学研究室)が若手ポスター発表優秀賞を受賞

2026年9月8日~10に福島大学(福島市)にて日本土壌肥料学会2026年度東北大会が開催され、農学院生産フロンティアコース修士課程2年の野別花さん(作物栄養学研究室)および修士課程2年の菅沼真紀さん(土壌学研究室)が若手口頭発表優秀賞を、修士課程2年の新田智美さん(作物栄養学研究室)が若手ポスター発表優秀賞を受賞しました。

 

発表演題:

テンサイにおけるNaClによる生育促進機構についての考察 -有機酸蓄積に対する塩化物イオンの影響-

野別 花¹・丸山隼人²・信濃卓郎²・渡部敏裕²(1.北海道大学大学院農学院、2.北海道大学大学院農学研究院)

発表概要:

北海道で砂糖生産のために広く栽培されるテンサイは、一般の植物には有害な高濃度のNaClの下で、むしろ生育が促進される「好塩性」を示します。本研究では、NaCl、Na2SO4、KCl、K2SO4を与えてテンサイを栽培し、生育と、体内の元素、有機酸の濃度を比べました。その結果、NaClとKClでのみ地上部の生育が促進されたことから、Clイオンの吸収が重要であることが示唆されました。また、この2つの塩では、同じ陰イオンである硝酸イオンとリン酸イオン、有機酸(特にクエン酸とリンゴ酸)の濃度が低下し、特に有機酸濃度の低下が顕著でした。体内に多量に蓄積したClが陰イオンとしての役割を担うことで、これらを蓄える必要が減り、窒素、リン、炭素を成長に使えるようになったことが、生育促進の一因だと考えられます。

 

発表演題:

ススキ草地における土地管理の違いが土壌炭素蓄積に与える影響とメカニズムの解析

菅沼真紀1・阿部しえり1・上野秀人2・当真要3(1.北海道大学大学院農学院、2.愛媛大学大学院農学研究科、3.北海道大学大学院農学研究院)

発表概要:

地球温暖化対策として草地土壌への炭素貯留が注目されています。日本の草地は野焼きや採草といった人為的な管理によって維持されており、管理方法によって土壌炭素貯留が異なることが知られています。その違いは投入される有機物の形態が異なることに由来するとの仮説のもと、本研究では、草地植生と土地管理を再現する圃場において土壌炭素と土壌有機物である腐植の変化を8年間追跡し土地管理が土壌炭素や腐植の組成に与える影響を調査しました。その結果、難分解性炭素源となる燃焼残渣を供給する野焼き管理が、特に草地の土壌炭素貯留に重要であることを示しました。これらの研究内容やプレゼンが審査委員に評価され、若手口頭発表優秀賞が授与されました。

 

発表演題:

メラストーマ(Melastoma malabathricum)におけるAlによるFe毒性緩和の分子機構

新田智美¹・山口夢乃¹・丸山隼人²・信濃卓郎²・渡部敏裕²(1.北海道大学大学院農学院、2.北海道大学大学院農学研究院)

発表概要:

アルミニウム(Al)超集積植物メラストーマは、酸性硫酸塩土壌で溶け出しやすい鉄(Fe)に弱い一方、Alがあるとその毒性が和らぎます。この仕組みを調べるため、根の遺伝子発現を網羅的に解析し、遺伝子同士のつながりを調べるネットワーク解析を行いました。その結果、F-box/LRR遺伝子が、Al集積とFe毒性回避を同時に調節する、中心的な因子である可能性が示されました。さらに、同じ個体で根を2つに分け、短期間のAl処理による根の遺伝子発現を解析しました。すると、Alを与えた根では、Feを貯蔵するフェリチン(FER4)の発現が、Fe吸収に関わる遺伝子に変化が見られない1時間後に低下し、AlがFe応答を素早く制御することがわかりました。

 

日本土壌肥料学会は、食料の生産に深く関係している土壌学、肥料学、植物栄養学の近代的な理論と技術体系を構築することを目的として、1927年に設立された学術団体です。以来、国土資源の保全に関連する環境科学の分野なども取り込んで発展を重ね、現在では約2,200名の会員を擁し、研究活動や技術開発の範囲を広げてきました。なお、現在の日本土壌肥料学会 会長は本学農学研究院作物栄養学研究室の信濃卓郎教授が務めています。「若手口頭発表優秀賞」、「若手ポスター発表優秀賞」は、若手研究者による研究活動の奨励を目的として、年次大会において優秀な発表を行った者に授与するものです。

<参考>

日本土壌肥料学会ホームページ

https://jssspn.jp/info-secretariat-20261005_01/

日本土壌肥料学会X

https://x.com/jssspn

 

受賞した菅沼真紀さん、野別花さんと新田智美さん