農学院生命フロンティアコース修士課程2年の山上晃汰郎さんと同コース修士課程1年の中堀祥悟さん(ともに微生物生理学研究室)が第76回日本生物工学会大会 (2024) において学生優秀発表賞と学生最優秀発表賞をそれぞれ受賞
農学院生命フロンティアコース修士課程2年の山上晃汰郎さんと同コース修士課程1年の中堀祥悟さん(ともに微生物生理学研究室)が2024年9月8日〜10日に東京都目黒区で開催された第76回日本生物工学会大会 (2024) において、山上晃汰郎さんが学生優秀発表賞を、中堀 祥悟さんが学生最優秀発表賞を受賞しました。
受賞にかかる発表演題と内容は以下のとおりです。
発表者:〇山上晃汰郎1、小谷葉月2、吹谷智1、古澤力2,3、前田智也1,2
1:北大院農、2:理研、3:東大院理
題目:”実験室進化による大腸菌のエネルギー欠乏への潜在的な適応能力の解明”
(本研究は理研および東大との共同研究として実施されたものです。)
内容: ATPやNADH、NADPHなどの生体分子は、生命活動に必要なエネルギーを作り出すために欠かせません。これらの分子の生成が妨げられると、エネルギー不足に陥り、代謝異常や生育不良が引き起こされます。生物はこうした異常に由来する悪影響を克服する潜在能力を備えていると考えられていますが、その詳しいメカニズムはまだ解明されていません。本研究では、一般的な実験材料である大腸菌を用い、エネルギー合成に関与する遺伝子を一部欠損させ、このような変異株を実験室で進化させました。これにより、大腸菌がエネルギー不足に適応するためにどのように進化するのか、その進化に必要な遺伝子変異を特定することに成功しました。
発表者:〇中堀祥悟1、小谷葉月2、吹谷智1、古澤力2,3、Michael Bott4、前田智也1,2
1:北大院農、2:理研、3:東大院理、4:ユーリッヒ総合研究機構
題目:”Corynebacterium glutamicumにおけるNADH酸化系変異株の適応的実験室進化”
(本研究は東大、理研とドイツのユーリッヒ総合研究機構との共同研究として実施されたものです。)
内容:Corynebacterium glutamicumは、アミノ酸の工業生産などで利用される重要な産業用微生物です。この菌をさらに活用して新たな有用物質を生産するためには、代謝効率を高めるメカニズムを解明する必要があります。本研究では、NADHという生体分子の酸化還元バランスが代謝に重要であることに注目し、遺伝子変異によるバランスの異常が適応進化の過程でどのように改善されるかを、実験室での進化実験を通じて明らかにしました。
参考URL:
https://www.sbj.or.jp/2024/news/news_student_award_20240927.html