農学院生命フロンティアコース修士課程1年の佐藤 桃さん、農学部4年の井上 桃さん、永島文佳さん(畜牧体系学研究室)が北海道畜産草地学会第14回大会において「ベストプレゼンテーション賞」を受賞
2025年12月6~7日に帯広畜産大学にて開催された北海道畜産草地学会第14回大会において、農学院生命フロンティアコース修士課程1年の佐藤桃さん、農学部4年の井上桃さん、永島文佳さん(畜牧体系学研究室)が「ベストプレゼンテーション賞」を受賞しました。
受賞した発表演題と概要は以下の通りです。
発表演題:放牧地の牛糞分解に伴う牛糞および糞直下土壌の微生物バイオマスの動態
発表者:佐藤 桃1、呉 成真1、三谷朋弘1、河合正人2、上田宏一郎1(1.北大院農、2.北大FSC)
発表概要:土壌微生物は放牧地の物質循環において重要な役割を果たしています。放牧地の土壌微生物バイオマス増加が牛糞消失率に反映されないことを以前に報告しました。本研究では牛糞分解における微生物の動態を明らかにすることを目的としました。牛糞は設置後50日間で約50%が消失しました。設置30日以降は牛糞内の微生物群集構造が変化し、糞直下土壌の微生物構造と類似していました。放牧地生態系の物質循環において、牛糞分解を主導する微生物集団とその役割が時間経過と環境要因に応じて徐々に交代していくことが示唆されました。
発表演題:夏季放牧泌乳牛に給与するコーンサイレージ主体補助飼料の祖タンパク質含量が乳成分および窒素利用に及ぼす影響
発表者:井上 桃1、呉 成真2、三谷朋弘2、河合正人3、上田宏一郎2
(1.北大農、2.北大院農, 3.北大FSC)
発表概要:乳牛の泌乳安定化と環境負荷低減のためには、飼料中の炭水化物とタンパク質のバランスおよび窒素利用効率の向上が重要です。放牧草は粗タンパク質含有量が高く、相対的に炭水化物含有量が低いため、コーンサイレージの補給は有効な給与戦略です。本研究では、放牧草の量や質が低下する夏季において、コーンサイレージに大豆粕を添加して粗タンパク質含有量を調節した補助飼料(7%、9%、11%)が、夏季の乳牛の乳生産と窒素利用に及ぼす影響を検討しました。試験結果、夏季における安定した乳生産のために必要とされる補助飼料の必要最小限の粗タンパク質含有量は9%であることが示されました。
発表演題:乳牛のルーメン内プロトゾア数と乳中の奇数鎖・側鎖脂肪酸組成との関連
発表者:永島文佳1、呉 成真2、三谷朋弘2、河合正人3、上田宏一郎2
(1.北大農、2.北大院農, 3.北大FSC)
発表概要:牛の第一胃(ルーメン)内微生物は、繊維質を発酵・分解するだけでなく、第四胃において牛にとって重要なタンパク質源として利用されます。ルーメン内で合成される微生物態タンパク質合成量を推定することは、乳牛の最適な飼養管理に不可欠です。牛乳中の奇数鎖・側鎖脂肪酸(OBCFA)は、ルーメン微生物の細胞膜に由来します。プロトゾアはルーメン微生物バイオマスの約50%を占め、細胞膜の脂肪酸組成は細菌とは異なります。牛乳中一部のOBCFAはルーメン内のプロトゾア数と相関関係を表しました。今後、変動要因を把握し補正することで、OBCFAはルーメン内の発酵状態を包括的に反映する潜在的なバイオマーカーとしての活用が期待されます。
北海道畜産草地学会は、北海道における農畜産業の発展に資する研究成果の健全な普及を図ることを目的としています。
