農学院生産フロンティアコース作物学研究室修士課程2年の松村悠生さんと原澤侑里さんが日本作物学会第257回講演会において講演会優秀発表賞(ポスター発表部門)を受賞

 2024年3月28日~29日に三重大学で開催された日本作物学会第257回講演会において、生産フロンティアコース作物学研究室修士課程2年の松村悠生さんと原澤侑里さんが講演会優秀発表賞(ポスター発表部門)を受賞しました。この賞は、満35歳以下の若手正会員を対象として、日本作物学会講演会において優秀と評価された口頭発表・ポスター発表に対して授与されるものです。

 

受賞にかかる発表演題と発表内容は以下のとおりです。

 

発表タイトル:
「節間伸長期の個体間競合が多穂型トウモロコシ品種のシンク形成・発達に及ぼす影響」
松村 悠生1,松井 康眞1,楊 夢凡1,森垣 拓巳1,原澤 侑里2,市川 伸次3,柏木 純一1,中島 大賢1(1北海道大学大学院農学院,2北海道大学農学部,3北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

近年、飼料価格の高騰により需要が高まっている子実用トウモロコシでは、株あたり1本の雌穂を着生する単穂品種が主に栽培されていますが、株あたり2本以上の雌穂を付ける多穂品種もまれに存在し、これらの品種では栽植密度が一株穂数に影響することが知られています。しかし、多穂性の発現機構はよく分かっていません。本研究では、多穂品種を密植条件で植え付け、異なる生育時期に間引きすることで栽植密度を変化させ、これが雌穂発達と一株穂数に及ぼす影響を調査しました。その結果、節間伸長期における個体間競合の激化に伴う同化産物生産能力の低下、および茎部と幼穂ならびに上位雌穂と下位雌穂で生じる器官間の同化産物競合により多穂性発現が抑制されることを明らかにしました。

 

発表タイトル:
「衝撃弾性波法を用いた飼料用トウモロコシにおける強稈性の品種間比較」
原澤侑里1・森垣拓巳2・楊夢凡2・松村悠生2・市川伸次3・柏木純一2・友部遼4・加藤洋一郎5・中島大賢2(1北海道大学農学部,2北海道大学大学院農学院,3北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・4 東京工業大学環境・社会理工学院,5東京大学大学院農業生命科学研究科)

飼料用トウモロコシでは、収穫前の台風接近や暴風雨によって生じる倒伏が主な減収要因となっており、耐倒伏性の改善が求められています。耐倒伏性を高めるためには、強風下でも折れにくい頑丈な茎を持つ強稈性品種を選抜することが重要ですが、茎部物性の評価には多大な労力を要します。
本研究では、衝撃弾性波法に基づく非破壊調査により茎部頑強性の品種間変異を調査し、それにかかわる稈構造を明らかにすることで、強稈性を効率的に高める有用形質を探索しました。その結果、衝撃弾性波法によって非破壊的に推定した茎部頑強性には顕著な品種間差異が認められ、これらは茎中の乾物密度や稈の組織構造の影響を受けることが明らかとなり、特に、厚壁組織への重点的な乾物分配が効率的に強稈性を高めるうえで重要であることが示唆されました。

 

受賞した松村 悠生さん
受賞した原澤 侑里さん