農学院環境フロンティアコース動物生態学研究室所属の八柳哲さん(博士後期課程3年)・加藤優樹さん(修士課程2年)・小澤徹也さん(修士課程1年)が環境DNA学会2022年ワークショップにおいて「発表賞・最優秀賞」を受賞
2022年11月19日にオンラインで開催された環境DNA学会ワークショップ「あなたが主役のワークショップ」において、農学院環境フロンティアコース動物生態学研究室所属の以下の学生が「発表賞・最優秀賞」を受賞しました。
■受賞者(代表)
八柳 哲(環境フロンティアコース 動物生態学研究室 博士後期課程3年)
■発表者
○八柳 哲、神戸 崇(北大院・農)、藤井和也(北大院・農/(株)福田水文センター)、井上頌子、荒木仁志(北大院・農)
■発表演題
環境DNAに基づくフクドジョウの系統地理推定
【概要】
系統地理学は、地球上の生物多様性を形作る要因を解明する手段として重要視される一方で、個体群ごとに数十、数百の捕獲個体由来のDNA試料が必要であることが大規模な研究展開の障壁とされていました。本発表では系統地理学の新手法として、個体の捕獲に依らずに水中からDNAを収集する「環境DNA技術」を駆使することで、北海道に広く分布する純淡水魚フクドジョウの種内に複数の遺伝子系統が存在すること明らかにした上、それらの遺伝的分化が道内各地の過去の地史的変動と密接に関連していた可能性を示しました。
■受賞者(代表)
加藤 優樹(環境フロンティアコース 動物生態学研究室 修士2年)
■発表演題
キタノスジエビの河川下流域への産卵回遊とその適応的意義
■発表者
加藤優樹、神戸 崇、荒木仁志(北大院・農)
【概要】
回遊とは、生物が成長段階や環境の変化に応じて生息地を移動する現象です。多くの場合こうした行動の把握には捕獲調査などの、多大な時間と労力を必要とする手法が求められます。本研究では従来の研究で用いられてきた捕獲調査手法に加えて、水中のDNAを分析することで生物の在・不在などを推定する「環境DNA技術」を駆使することで、北海道を含む北日本に分布するキタノスジエビの繁殖期における回遊パターンを解明しました。さらに、こうした回遊行動の適応的意義について飼育実験などを通した考察を行いました。
■受賞者(代表)
小澤徹也(環境フロンティアコース 動物生態学研究室 修士1年)
■発表者
○小澤徹也、神戸崇、荒木仁志(北大院・農)
■発表演題
環境DNAハプロタイピングに基づくオショロコマの遺伝子浸透率推定
【概要】
遺伝子浸透とは、交雑個体と親種との戻し交配によって一方の種内に他種の遺伝子が混入していくことです。知床半島のオショロコマにはアメマスのDNAが浸透した個体が生息し、河川間で浸透個体の割合(浸透率)が異なることが分かっています。本研究では、従来から用いられてきた捕獲調査との比較により、水中のDNAを解析する「環境DNA技術」を用いて浸透率を推定できることが分かりました。また、半島内河川の浸透率には先端河川ほど浸透率が高いという地理的パターンがあることも解明しました。
(参考)一般社団法人 環境DNA学会ウェブサイト:
https://ednasociety.org/