12th International Symposium on Plant-Soil Interactions at Low pHにて農学院生産フロンティアコース修士課程2年の新田智美さん(作物栄養学研究室)がExcellent Poster Presentation Awardを受賞
2026年10月27日~31日に長良川国際会議場(岐阜市)にて12th International Symposium on Plant-Soil Interactions at Low pHが開催され、農学院生産フロンティアコース修士課程2年の新田智美さん(作物栄養学研究室)がExcellent Poster Presentation Awardを受賞しました。
発表演題:
Aluminum Suppresses Iron Uptake-Related Genes to Alleviate Iron Toxicity in Melastoma malabathricum L.
(アルミニウムは鉄吸収関連遺伝子の発現を抑制することで Melastoma malabathricum における鉄毒性を軽減する)
Tomomi NITTA¹, Hayato MARUYAMA², Takuro SHINANO², Toshihiro WATANABE² (1.Graduate School of Agriculture, Hokkaido University 2.Research Faculty of Agriculture, Hokkaido University)
発表概要:
メラストーマ(Melastoma malabathricum)は酸性硫酸塩土壌など強酸性土壌に優占するアルミニウム(Al)集積植物です。この植物は鉄(Fe)過剰に対して感受性を示す一方、Alの添加によってFe過剰害から回復することが知られていましたが、その仕組みは不明でした。本研究では、AlとFeの濃度を組み合わせて水耕栽培を行い、生育と組織中の元素濃度を調べるとともに、根のRNA-seq解析を行いました。高Fe条件では、Al添加により生育が回復し、根と葉のFe濃度が低下しました。一方、Al蓄積量はFe条件の影響を受けませんでした。根では、Fe吸収に関わるIRT1とFRO2の相同遺伝子の発現がAlにより低下しました。植物ではこれらの遺伝子の発現にbHLH転写因子が関わることが知られています。そこで、Alに応答するbHLH転写因子を探索したところ、9個の相同遺伝子が同定されました。さらに、モデル植物でIRT1やFRO2の転写制御を担うbHLH転写因子に着目して解析した結果、AlによってFe吸収系を抑制する方向に発現が変動していることが分かりました。以上から、AlはFe吸収関連遺伝子の発現を抑制することで、Fe過剰障害を緩和する可能性が示唆されました。
International Symposium on Plant-Soil Interactions at Low pHは、世界の農業において最も重大な環境ストレス要因の一つとなっている「酸性土壌」における、持続可能な食料生産を確保するための学際的なアプローチを模索する国際会議です。酸性土壌の問題を専門とする土壌学者、植物学者、農学者が一堂に会し、酸性土壌関連研究の最近の進展について議論するものです。第12回となる本会議は、2026年10月27-31日に岐阜市で開催され、20か国、約140名の研究者が参加しました。「Excellent Poster Presentation Award」はポスターセッションにおいて、研究発表内容と質疑応答が特に優れた研究者に授与するものです。
