農学院生命フロンティアコース博士後期課程1年の相馬 陽さん(食品栄養学研究室)が第80回日本栄養・食糧学会大会にてトピックス賞を受賞

2026年5月15から17日にかけて、サンポート高松(高松市)で開催された日本栄養・食糧学会大会において、農学院生命フロンティアコースの相馬 陽さん(食品栄養学研究室・博士後期課程1年)がトピックス賞を受賞しました。

トピックス賞とは、日本栄養・食糧学会の学術活動を広く社会に周知するため、一般演題の中から話題性や実用性のある研究成果を大会プログラム委員会と学会広報委員会が選考し、大会会頭が表彰するものです。第80回大会では、一般演題466演題の中から25演題が選出されました。

受賞対象の発表内容は以下のとおりです。

 

発表演題:
12水酸化胆汁酸の増加に伴う褐色脂肪組織における熱産生低下の原因となる血中因子の探索
相馬 陽1, 福井 望天2, 高須賀 太一1,2, 石塚 敏1(1北大院農,2北大院国食)

発表概要:
脂肪を蓄える白色脂肪組織に対して、褐色脂肪組織(BAT)は熱を生み出す脂肪組織であり、脂肪を積極的に燃焼することで哺乳動物の体温維持を担います。一方、肥満では熱産生の低下が報告されており、BATの熱産生を活性化させることが肥満対策として注目されています。そこで、我々は肥満で見られる熱産生低下の原因を解明することを目的としました。肥満では、肝臓で12水酸化(12OH)胆汁酸が増加することが知られています。ところが、脂肪組織に至る血中では必ずしもその増加は見られないことから、肝臓における12OH胆汁酸の増加が別の因子を介してBATに作用すると考えました。タンパク質を網羅的に解析する技術であるプロテオミクスにより、肝細胞から分泌されるタンパク質を解析したところ、鉄の輸送を担うことが知られているトランスフェリン(Tf)が12OH胆汁酸により著しく減少しました。一方、Tf がBATのモデル細胞での熱産生に関わる因子を動かすことを見出しました。つまり、12OH胆汁酸の増加が肝細胞からのTfの分泌を抑えることがBATでの熱産生低下に関わるという新たな経路を見出しました。食品は体内の胆汁酸の動きに影響するため、本研究の成果が、食を介する肥満の予防・治療に新たな活路を見出す礎となることが期待されます。

 

日本栄養・食糧学会は、栄養科学ならびに食糧科学に関する学理および応用の研究についての発表、知識の交換、情報の提供を行う事により、栄養科学、食糧科学の進歩普及を図り、わが国における学術の発展と国民の健康増進に寄与することを目的として、1947年に設立された学術団体です。

<参考>
日本栄養・食糧学会ホームページ
https://www.jsnfs.or.jp/

 

学会会場にて 相馬 陽さん(左)と石塚 敏教授(右)