農学院環境フロンティアコース修士課程1年の大津直也さん(生態環境物理学研究室)がAsiaFlux Conference 2025にてベストポスター賞を受賞
2025年10月22日~24日にRiau Complex(インドネシア・リアウ州)で開催されたAsiaFlux Conference 2025において、農学院環境フロンティアコース修士課程1年の大津直也さん(生態環境物理学研究室)がベストポスター賞を受賞しました(75課題中3課題が受賞)。
受賞にかかる発表演題と発表概要は以下のとおりです。
発表演題:
「CO2 balance and evapotranspiration of a rainfed maize field in Hokkaido, Japan」
(北海道の飼料用トウモロコシ圃場におけるCO2収支と蒸発散)
Naoya Ohtsu1, Hiroki Ikawa2,3, Takashi Hirano3, Mizuki Horikoshi11,4, Taiken Nakashima3, Masaharu Kitano4(1 北大農学院,2 北農研,3 北大農学研究院,4 高知大IoP共創センター)
発表概要:
農地の炭素・水収支を定量化することは、陸域生態系における炭素・水循環への農業の役割を理解する上で重要である。本研究では、2024年7月上旬~9月中旬(74日間)に北海道の無灌漑トウモロコシ圃場において、渦相関法を用いてCO2とエネルギーの乱流フラックスを観測した。樹冠高は8月中旬に2.6 mまで増加し、その後はほぼ一定を維持した。フラックスデータから、正味生態系CO2交換量(NEE)、生態系呼吸量(RE)、総一次生産量(GPP)、蒸発散量(ET)、および水利用効率(WUE = GPP/ET)の季節変動と環境要因に対する応答性を解析した。昼間REは昼間NEEから作成したランダムフォレストモデルを用いて推定した。実験期間におけるNEE、RE、GPP、ETの積算値は、それぞれ-571、599、1170 g C m⁻²、244 mmであった。平均WUEは4.9 g C kg H₂O⁻¹であった。GPPとETの季節変動は、それぞれ光合成有効放射束密度(PPFD)と正味放射によって主に制御されていた。REは気温や地温などの環境変数と有意な相関を示さなかったが、生育期における日別RE/GPP比はPPFDと対数関係を示した。この結果は、生育段階に関わらずRE/GPP比が主にPPFDによって決定されることを示唆している。
AsiaFluxは陸域生態系と大気間の二酸化炭素、水蒸気、エネルギーの交換を研究する研究者のアジアにおける観測研究ネットワークであり、1999年に設立されました。
AsiaFluxホームページ
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