農学院生産フロンティアコース博士後期課程1年の山田郁絵さん(作物栄養学研究室)が20th International Plant Nutrition Colloquiumにおいて“3rd Best Poster Award”を受賞
2025年7月22日から25日までポルトガルで開催された20th International Plant Nutrition Colloquiumにて、農学院生産フロンティアコースの山田郁絵さん(作物栄養学研究室 博士課程1年)が“3rd Best Poster Award”を受賞しました。
発表演題と発表内容は以下のとおりです。
演題:Crosstalk between Sulfur and Phosphorus Deficiency Responses in Rice
(Ikue Yamada, Hayato Maruyama, Toshihiro Watanabe, Takuro Shinano)
発表内容:イネにとって硫黄(S)とリン(P)はどちらも欠かせない栄養素であり、不足すると体内での輸送や代謝に影響を及ぼし合う可能性があります。本研究では、SとPのそれぞれの存在が、互いの欠乏時の応答に重要であるという仮説のもと、コシヒカリを用いて実験を行いました。その結果、P欠乏に対する植物の応答は、単に体内のリン濃度だけでなく、Sや窒素(N)とのバランスに大きく依存していることが明らかになりました。特に、S欠乏による応答が緩和されることで、P欠乏に関わる遺伝子の発現が調節されることが示されました。また、代謝においてSとの関連が強いNは、直接的または間接的に、Sを介したP欠乏応答の調節に関与している可能性があります。このことから、P欠乏応答の理解には、S/P比やN/P比といった栄養素間のバランスが重要であることが示唆されました。
International Plant Nutrition Colloquium(国際植物栄養学会議)は、1954年にパリで第1回が開催されて以来、3〜4年ごとに開かれている植物栄養学分野で最大規模の国際学会です。第20回となる今回は、42カ国から400人以上の参加者が集まりました。学会では、307件のポスター発表の中から、運営委員会の評価チームによる審査を経て、3件の課題にBest Poster Awardが授与されました。
【参考】20th International Plant Nutrition Colloquium
https://ipnc2025.org/