農学院生産フロンティアコース博士課程2年の藤木卓巳さんが2025年3月16日から21日に中国江蘇省塩城市で開催された国際園芸学会(ISHS)の第10回国際イチゴシンポジウムにおいて “ISHS young minds award for best poster presentation”を受賞
2025年3月16日から21日まで中国江蘇省塩城市で開催された国際園芸学会(ISHS)の第10回国際イチゴシンポジウムにおいて、農学院生産フロンティアコース博士課程2年の藤木卓巳さんが“ISHS young minds award for best poster presentation”を受賞しました。
受賞にかかる発表演題と発表内容は以下のとおりです。
Distribution of abscisic acid in strawberry fruit visualized utilizing MALDI-TOF MSI
(T. Fujiki, H. Matsuura, Y. Jitsuyama, T. Suzuki)
アブシジン酸は、イチゴ果実の成熟および種子休眠に関与すると考えられています。果実におけるアブシジン酸の生理的な役割を理解する上で、その果実内分布を明らかにすることは重要です。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析イメージング法(MALDI-TOF MSI)を用いると、組織切片中の化合物分布が可視化できます。しかし、従来、植物ホルモンのような微量成分の可視化は困難でした。藤木さんらは、Enomoto et al. (2018)の手法に倣い、Girard試薬Tを用いてアブシジン酸を誘導体化する方法で質量分析を容易にし、その果実内分布を可視化しました。その結果、アブシシン酸は主に維管束上に分布し、特に果皮近傍組織で濃度が高いことが明らかになりました。この発見により、イチゴ果実の成熟および種子休眠機構の解明が進むものと期待されます。
ISHS国際イチゴシンポジウムは、1988年の第1回をかわきりに4年に1度開催されています。本大会(第10回)には、26か国から1,000人を超える参加者が集まりました。ポスター発表(本大会は全76課題)のうち、発表者が35歳未満である者の中から、最も優れた1課題に対し“ISHS young minds award for best poster presentation”が授与されています。
【参考】The 10th International Strawberry Symposium
https://www.iss2025.org.cn/default.aspx
