農学院環境フロンティアコースの浪江日和さん(土壌学研究室 博士課程3年)が日本土壌肥料学会2024年度福岡大会にて若手口頭発表優秀賞を受賞
2024-11-15
農学院環境フロンティアコースの浪江日和さん(土壌学研究室 博士課程3年)が日本土壌肥料学会2024年度福岡大会にて若手口頭発表優秀賞を受賞しました。
受賞にかかる発表演題と発表内容は以下のとおりです。
発表演題:「無肥料・無農薬水田における中耕除草がメタン排出に及ぼす影響の調査」
〇浪江日和・島田かさね・趙双双・当真要・石黒宗秀・波多野隆介
水田で生成されたメタンは,拡散,気泡,イネの通気組織を介して大気中に放出されます。昨年の愛媛大会では,拡散経路における中耕除草の撹乱がメタン排出に与える影響を報告し若手口頭発表優秀賞を受賞しました。今回の福岡大会での受賞では,気泡およびイネ経路でのメタン排出解析を加え,中耕除草による撹乱が各経路に与える影響を考察し,その結果,総メタン排出量への寄与率はイネ経路が最も高く,次いで拡散,気泡経路の順で,主要なメタン排出経路はイネ経路であり,イネ経路の寄与率が高いほど,気泡経路の寄与率は低くなる傾向があることがわかりました。このことは,湛水期の土壌中に存在する高濃度の気泡メタンが,気泡経路ではなく主にイネ経路を通じて放出される可能性があることを示しています。さらに,中耕除草による物理的な撹乱が,土壌中に蓄積した気泡を破壊するだけでなく,田面水中の酸化的な環境でメタンを酸化させ,イネおよび気泡経路のメタン排出を抑制した可能性を指摘しました。この結果から,中耕除草の実施は3つの排出経路すべてでメタン排出量を抑制し,水田からの総メタン排出量を減少させる傾向が示され,次の研究への新たな知見を提供しました。