2022年
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第59回時計台サロン「農学部に聞いてみよう」開催

 北海道大学農学部・農学院・農学研究院では、札幌市時計台(正式名:旧札幌農学校演武場)において、時計台サロンを開催しています。
 札幌農学校演武場は、札幌農学校初代教頭クラーク博士が発案し、2代教頭ウィリアム・ホイラーが基本構想図を作り、開拓使工業局安田喜幸が設計監督した木造建築で、ここから新渡戸稲造、内村鑑三をはじめ多くの卒業生が旅立ちました。

 札幌農学校は現在の北大農学部です。私たちが受け継いできた札幌農学校の伝統をふたたび現在に甦らせるべく、その精神を受け継いだ著名な卒業生や現役の教育・研究者の講演を、広く市民の皆さんに公開することにしました。
 現在は、200万都市札幌の真ん中に位置する時計台です。北海道大学に脈々と流れる精神を感じとっていただき、21世紀の未来を考える場としたいと考えております。

 第59回として、10月18日(火)18時から『時計台サロン「農学部に聞いてみよう」』を時計台会場及びオンライン(Zoom)でハイブリッド開催いたしますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。入場・視聴無料で、オンライン参加のみ申込みフォームから事前申込みが必要です。なお、時計台会場・オンラインともに人数に上限がございますので、以下をご確認ください。

【直接会場参加の場合】
・入場無料、申込不要です。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、先着70名とさせていただきます。

【オンライン(Zoom)参加の場合】
・申込み期限:10月16日(日)まで
・視聴は無料、先着100名までとさせていただきます。以下のフォームより事前にお申し込みください。
 https://forms.gle/h89fBgkhhNRBRBcU8

 なお、次回以降についても、このホームページでご案内いたしますので、どうぞご参照ください。

第59回テーマ「農と土と人類~古くて新しい知恵を求めて~」

 多収量・高品質を目指す近代的農業は、同時に肥料・農薬・化石エネルギーなどの多投入になり、地球環境にとってだけでなく、農家の経営にとっても、持続的とは言えない面が大きいことはよく知られています。そこで低投入で、自然の働きを生かした農業や、在来の素材・品種を生かした生活スタイルについて関心が高まっており、それらについて長年研究をされてきた二人の研究者から話題を提供します。

講義1 「土は生命の源~自然栽培稲作の試み~」
北海道大学大学院農学研究院 教授 石黒 宗秀

 旧約聖書では、人は土から生まれたとされています。ギリシャ神話でも、エピメーテウスとプロメーテウスが粘土をこねて人を造ったとされています。土から人が生まれることはありませんが、土をめぐる物質循環を通して自然の営みを見ると、人にとって土が大切な存在であることが良くわかります。健康科学は、多種多様な100兆匹もの腸内細菌が、人の健康を支えていることを明らかにしています。農業においても、土中生物の役割が注目され、健康や地球環境保全の視点から農法の見直しが期待されます。ここでは、土についてお話しするとともに、北海道大学農場で研究している自然栽培稲作について紹介します。

講義2 「いのち育む農とは~人類学の視点から~」
北海道大学大学院文学研究院 教授 小田 博志

 これまで先住民族は狩猟採集と結びつけて考えられがちでした。しかし先住民族が伝統的に行ってきた農について近年明らかになりつつあります。そこには近代的に産業化された農業とは異なった、土や植物、ひいては自然との関わり方が見られ、今後の「持続可能な」農のあり方を考えるための古くて新しいモデルともなり得ると考えられます。ここでは世界各地の先住民族や在来の農の事例をいくつかご紹介し、そこから引き出される自然の理にかなった農のヒントを考察したいと思います。

司会:北海道大学大学院農学研究院 准教授 加藤 知道

ご興味のある方は是非ご参加ください!
※内容は多少変更になる可能性がございます。