研究内容

骨格筋における異種細胞間コミュニケーション機構に関する研究

食肉の主体は家畜や家禽の骨格筋です。私たちは、肉用家畜・家禽を様々な飼育方式で肥育することによって、筋組織を肥大化させて効率的に赤身肉を生産したり、骨格筋内に脂肪組織(筋肉内脂肪組織)を蓄積させて霜降り肉を生産したりしています。筋組織は、単核の筋芽細胞が分化・融合した多核の筋細胞の集合体です。また、筋肉内脂肪組織は、前駆脂肪細胞が分化して細胞内に脂肪滴を蓄えた成熟脂肪細胞の集合体です。これらは線維芽細胞が作り出す細胞外マトリックスから成る結合組織によって支持されています。家畜骨格筋を構築する各種細胞の挙動が筋組織や脂肪組織の発達に影響し、最終産物である食肉の量と質を決定しているのです。私たちは、骨格筋という同一空間内で異種細胞がどのようにコミュニケーションをとって互いの活動を制御しているかを調べることによって、筋肥大・脂肪蓄積のメカニズムを解明しようとしています。

骨格筋筋原線維におけるミオシン分子の置換機構に関する研究

骨格筋の収縮・弛緩を担う筋原線維の太いフィラントは300-400のミオシン分子が集合して形成されています。骨格筋中でミオシンタンパク質(分子)は、他のタンパク質と同様に代謝回転していますが、筋原線維の機能(収縮・弛緩)を保ちながら、どのように置き換わっているのかは不明です。私たちは、蛍光標識したミオシンを発現させた筋細胞を用いたライブセル分子蛍光イメージングによって、筋原線維内のミオシン分子の置換メカニズムを解明しようと研究しています。

骨格筋の幹細胞(サテライト細胞)による筋線維型決定機構に関する研究

骨格筋の収縮・代謝特性は、筋線維型(遅筋型・速筋型)の割合に依存しています。また、家畜骨格筋における筋線維型の割合は最終産物である食肉の品質にも影響すると考えられています。では、骨格筋における筋線維型はどのように決定されているのでしょうか。私たちは、骨格筋の組織幹細胞であるサテライト細胞(筋衛星細胞)に着目し、筋線維型の決定機構を細胞生物学的アプローチで追究しています。

家畜生体内組織形成術による再生医療移植用組織の生産に関する研究

再生医療に必要な組織を自己生体内で創る「生体内組織形成術」が開発され、ヒトおよび動物での臨床応用研究が行われ始めています。しかし、生体内組織形成には数ヶ月が必要で緊急の場合には対応できません。私たちは、家畜生体内(皮下)を「組織形成の場」として利用し、ヒトおよび動物の再生医療で使う移植用組織を大量かつ均質に製造する家畜生産技術を開発し、再生医療のイノベーションに貢献しようと研究しています。

乳腺発達および乳産生の調節機序に関する研究

牛乳(生乳)や母乳は乳腺実質に存在する乳分泌細胞(乳腺胞上皮細胞)が産生したものです。乳分泌細胞は、妊娠期に増殖してその数を増やし、分娩前後に乳成分を合成する能力を獲得します。そのような準備が整った後、赤ちゃんの授乳や牛乳の産生が始まります。したがって、乳成分の量は、細胞生理学的に以下の式によって計算されます。
乳成分の量=(乳分泌細胞の数)× (乳分泌細胞が乳産生能力)  つまり、乳分泌細胞が増えたり、その産生能力が活性化すれば、乳成分の量はUPします!そこで私たちは乳分泌細胞に着眼して、どうすれば美味しい牛乳がたくさん飲めるようになるか研究しています。

皮膚恒常性に及ぼす畜産物由来有効成分に関する研究

畜産物には、肉や乳など皆さんになじみ深い食材もあれば、内臓や毛など食用にならないもの、あるいは乳製品をつくる際に産出されるホエーなど、いろいろなものがあります。それらの畜産物には多種多様な生理活性物質が含まれています。それらの生理活性物質をみつけ、利用されるようになれば、生活も豊かになり、畜産物にも付加価値が付きます。私たちは、皮膚および皮膚に存在する表皮細胞や線維芽細胞に作用する畜産物をみつけ、皮膚恒常性の向上に資する研究を進めています。

主な研究テーマ

細胞組織生物学研究室では、主要な畜産物である食肉およびミルクが家畜生体内で産生されるメカニズムを筋細胞(筋衛星細胞など)や乳分泌細胞(乳腺胞上皮細胞)に着目して分子細胞生物学的アプローチで追究しています。また、畜産物由来の生理活性物質が皮膚恒常性に及ぼす効果を細胞・組織レベルで解明しようと研究しています。

  • 骨格筋における異種細胞間コミュニケーション機構に関する研究
  • 骨格筋筋原線維におけるミオシン分子の置換機構に関する研究
  • 骨格筋の幹細胞(サテライト細胞)による筋線維型決定機構に関する研究
  • 家畜生体内組織形成術による再生医療移植用組織の生産に関する研究
  • 乳腺発達および乳産生の調節機序に関する研究
  • 皮膚恒常性に及ぼす畜産物由来有効成分に関する研究

業績

研究実績


メンバー紹介


日本畜産学会 日本食肉研究会

連絡先

住所

〒060-8589
札幌市北区北9条西9丁目 北海道大学大学院農学研究院 細胞組織生物学研究室

メールアドレス

cell_tissue_biology@agr.hokudai.ac.jp

研究室サイト

https://www.agr.hokudai.ac.jp/cell_tissue_biology/