研究内容

初代教授 松村松年によって記載されたウスバキチョウの北海道亜種
Parnassius eversmanni daisetsuzanus Matsumura

アブラムシにおける種分化過程の解明

アブラムシ類は、さまざまな植物に寄生する小型の昆虫で、集団を作って生活しています。エンドウヒゲナガアブラムシは、本来カラスノエンドウに寄生していました。ところが、明治以降に日本にアカツメクサ、アルファルファ等が導入されると、それらの植物に集団が移住し、現在では、それぞれの植物に適応した独特の集団が作られています。100年以内に生じた種分化の過程を、遺伝学、生態学、行動学の手法を用いて明らかにしようとしています。

シラミの寄生性の起源と進化

シラミは鳥類と哺乳類に外部寄生し,ケラチン質または血液のみを食物として,寄主の上ですべての生活・繁殖サイクルを完結する極めて特殊な昆虫です.シラミの起原と多様化の背景には,寄主である鳥や哺乳類の起源と多様化,栄養的に片寄った食物での生存を可能にする内部共生微生物との共生関係の成立,外部・内部形態の適応的大革新,宿主との共進化といった興味深いテーマがたくさん含まれています.

アリと共生するアブラムシの生態と進化

アブラムシは植物の篩管液を吸汁し,甘露という排泄物を出します。甘露には糖分やアミノ酸が含まれており,アリにとって重要な餌です。アリは甘露を食べるために,アブラムシのコロニーを頻繁に訪れます。アリがずっとアブラムシのそばにいるので,テントウムシ等の天敵はコロニーに近づけず,アリとアブラムシの間には共生関係が生じているといえます。この共生関係がいつ,どのようにして進化してきたのかを調べています。

アブラムシにおける無性生殖型の起源

アブラムシ類はクローンの幼虫を産んで増殖(単為生殖)しますが、一年に一度、他の昆虫と同じように有性生殖をするのが基本です。しかし、一部の種には有性生殖をせずに、単為生殖だけで増殖する無性生殖型の集団が存在します。重要害虫のアブラムシも、ほとんどがこのようなタイプです。遺伝子解析と飼育実験によって、無性生殖型がどのように起源し、どのような生態的特徴を持っているのかを調べています。こうした研究を通じて、害虫防除に新たな視点を提供するとともに、「性の進化」問題の解明をめざしています。

アブラムシ(ユキムシ)における性比の進化

オスとメスの比率は、多くの生物では、1:1で安定しています。しかし、特定の条件の下では、性比はメスに偏ったり、オスに偏ったりします。ユキムシと呼ばれるアブラムシでは、性比がメスに偏っていることが知られていました。20年以上、ユキムシの性比を同じ場所で、毎年調べてみると、性比は年によって大きく変動していることがわかりました。メスばかりになって、危うく絶滅しかけることもありますが、翌年にはちゃんとオスが回復します。

ゴール形成アブラムシの多様性と進化史

ユキムシなどのアブラムシは、植物組織を異常生長させる虫こぶ(ゴール)を形成し、季節によって2種類の植物の間を往復する寄主転換をしますので、植物と昆虫との相互作用を研究するためには非常に興味深い研究対象です。ゴール形成アブラムシを対象とした分類学と系統学に取り組み、新種を含む各種の形態・寄主植物・生活環・分布等を明らかにし、系統関係を解析して進化史を明らかにしています。また、各国のアブラムシ研究者と協力して、アブラムシの学名の整理も行なっています。

日本列島内の昆虫の系統地理学

日本列島の生物は氷河期やその後の温暖化の影響を受けて、現在の分布が作られています。氷河期には、暖温帯性の生物が今より南に分布域を移していました。氷河期を過ごした地域を「避難所」(レフュージア)と呼びますが、避難所がどこに、いくつ作られたかは、現在の生物の多様性を知るために必要不可欠です。カワゲラなどの昆虫では、九州、四国でミトコンドリア遺伝子の多様性が高くなっており、そこがかつての避難所であったと推測されています。

フキバッタ類における性的対立が引き起こす種分化

昆虫のメスは、しばしばオスに対して交尾拒絶を示すことが知られています。サッポロフキバッタでは、激しい交尾拒絶を示すメスがいる集団と、比較的簡単にオスのアプローチを受け入れるメスのいる集団とに分かれています。メスが激しく交尾拒否を行う集団には交尾活力の高いオスが見られ、逆にメスが受容的な集団には「温厚な」オスが見られます。こうした交尾特性の違いが、集団間の生殖的隔離を引き起こしている可能性を調べています。

ハムシ類における交尾器形態の進化

体長1cm未満の小さな虫,ハムシ類には,体長の何倍も長い雄交尾器(≒ペニス)を持つ種たちが知られています.昆虫の交尾器は,どんなに長くとも腹の中に収納し交尾の時に出して使用します.そのため,ハムシ類では交尾器の形が特殊化したものがいます.そんなハムシを相棒に,交尾中のペア観察から長~い交尾器の出し入れメカニズムと,様々な種と形を比較することでどのような歴史的変遷を経て今の形になったのかを調べています.

水性甲虫ガムシ類の分類学と系統学

生物の多様な広がりは多くの人の興味を引きつけます。鞘翅目の幼虫は未解明なものが多く、特に、ガムシ上科の幼虫はほとんどわかっていません。ガムシは水生昆虫として広く知られていますが、実は水中生活をする種だけではなく、陸上生活をする種も存在する、実に多様な生物群です。地球上に存在するガムシ上科の多様性を明らかにすると共に、彼らの水中・陸上への進出に伴う形態進化プロセスを明らかにする研究を進めています。

すべての昆虫群を対象とした分類学と系統学

教員の専門に関わらず,あらゆる昆虫および陸棲節足動物を対象とした分類学,系統学の教育,研究を行っています.ここ10年ほどの学生の研究テーマに限っても,カゲロウ,トンボ,カワゲラ,バッタ,シラミ,アブラムシ,セミ,ウスバカゲロウ,シリアゲムシ,ハチ,甲虫,ガ,ハエ,クモと非常に多岐にわたっています.


研究室の特徴

昆虫体系学研究室では、昆虫の多様性や進化過程を明らかにする研究を進めています。昆虫体系学は100年以上の伝統を持った研究室で、大量に保管されている標本類を現在に生かした研究に特徴があります。北大総合博物館とも連携をとって教育・研究に当たっています。応用上重要な昆虫だけでなく、自然史的に興味深い昆虫であれば、どのグループを材料に選ぶこともできます。研究室では、教員、研究員、院生、学生がそれぞれ独自のスタイルで、分類学、系統学、遺伝学、生態学、あるいは行動学の観点から研究に取り組んでいます。フィールドでの調査から、微少昆虫の標本作製、飼育実験、実験室でのDNA実験まで、多角的な研究スタイルに特徴があります。

研究室紹介

昆虫体系学研究室は,1896年に松村松年を初代教授として開講され,昆虫を材料とした生物多様性の解明に取り組んできました。100年以上の伝統を持った研究室で、大量に保管されている標本類を現在に生かした研究に特徴があります。
北大総合博物館とも連携をとって教育・研究に当たっています。応用上重要な昆虫だけでなく、自然史的に興味深い昆虫であれば、どのグループを材料に選ぶこともできます。
研究室では、教員、研究員、院生、学生がそれぞれ独自のスタイルで、分類学、系統学、遺伝学、生態学、あるいは行動学の観点から研究に取り組んでいます。フィールドでの調査から、微少昆虫の標本作製、飼育実験、実験室でのDNA実験まで、多角的な研究スタイルに特徴があります。

詳細については、こちらから参照願います。


業績

実績(発表論文)
実績(学会発表)


メンバー紹介

その他、研究員、学生については以下を参照願います。
https://www.agr.hokudai.ac.jp/systent/staffs.html


OB・OGの進路

主な就職先・進路について

大学教員、博物館研究員、国公立農業研究機関、植物防疫所、環境アセスメント会社、一般企業


連絡先

住所

〒060-8589 札幌市北区北9条西9丁目 北海道大学農学研究院昆虫体系学
秋元信一、吉澤和徳

電話・FAX番号

Tel 011-706-2480(秋元信一)
Tel 011-706-2424(吉澤和徳)

メールアドレス

akimoto*res.agr.hokudai.ac.jp(秋元信一)
psocid*res.agr.hokudai.ac.jp(吉澤和徳)