研究内容

  1. 微生物が栄養飢餓や重金属ストレスなどに晒されたときに植物や微生物が発する、環境応答シグナル物質あるいは情報伝達シグナル物質の単離精製と構造解析、ならびにその機能性について精査し、それらの農業利用への可能性を探る。例えば、ソテツとシアノバクテリアあるいはイネ科植物と根面付着細菌の共生体成立因子の解明により、非マメ科植物と窒素固定性シアノバクテリアの共生を人為的に制御し、窒素肥料を必要としない穀物の栽培体系を確立することを目指す。
  2. 強力な温室効果ガスであり21世紀最大のオゾン層破壊因子でもある亜酸化窒素(N2O)の発生源から、その主因となる脱窒細菌を分離し、その生態と特徴的なゲノムの解明を行う。特にN2O還元に関わる鍵酵素の遺伝子群を精査し、なぜ脱窒細菌が活発なN2O生成細菌へと変貌するのかを探求する。潜在的高N2O放出土壌でのN2O生成細菌の出現過程を解明し、この研究成果をもとにしたN2O発生抑制技術開発を目指す。
  3. 味覚の中でも甘味に関するものは、受容体を介し人の嗜好に大きな影響を与えるため昔から作用発現の3点モデル等が提唱されてきたが、近年それでは説明の難しい化合物群が甘味を呈することが明らかになってきた。その機能発現機構をchemical biology的な手法を用い解明することを目的としている。
  4. Chemical biologyの目標に一つに生理活性低分子化合物の活性発現解析(構造活性相関を含む)が挙げられる。この目的に光アフィニティーラベル法を適用するため、生理活性物質誘導体の有機化学的合成から、実際の生体内での挙動までを網羅的に検討することにより、効率的解析手法の積極的な検討を行っている。
  5. 植物がストレスに曝されると、細胞内で有毒な活性窒素(RNS)や活性酸素(ROS)が過剰に蓄積し、細胞障害を引き起こしさらには枯死に至る。植物色素の一種であるフラボノイドやベタレインの、植物細胞内におけるRNS、 ROS消去能及び機構を明らかにし、植物の環境ストレスに強い植物開発への応用を目指している。

主な研究テーマ

農薬を使用している現状でさえ、世界の農産物の40%は食害昆虫、病原菌、ポストハーベスト感染、雑草による生育阻害等によって失われている。もし農薬がなければ、リンゴやキャベツの99%以上、コムギの60%以上、イネでも40%以上の収穫が失われるとの報告がある。この実態は、近・現代農業において、農薬なしではいかに現代の食糧生産が困難かを物語っている。また、現代農業は化石燃料のエネルギーで生産される窒素肥料(ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア製造)なしでは成り立たないとも言われている。それに加え、昨今の気象変動は農作物の壊滅を引き起こす異常低温、異常高温、干ばつ、多雨をもたらし、食糧の安定供給を妨げる大きな危険要因となっている。生態化学生物学研究室は、これらの問題に向き合うため、生物の環境応答の仕組みについて研究を重ねている。生物の環境に対する応答では、生物間同士のネットワークシグナルへの伝達とコンソーシアム形成に展開的に機能する場合が見いだされており、このような環境応答、シグナル伝達、それらの受容体特定を明らかにすることを研究室の目標に据えている。将来の安定かつ生物合理的な生物生産制御(新しいポスト農薬開発、植物の機能性解明、シグナル受容体の農薬や医薬への応用)にこれらの知見を応用するため、生態学や植物生理学、微生物生態学、細胞生理学を天然物化学、生理学、分子化学、化学生物学、有機化学、分析学などの基礎科学的な手法を用いた解明を大テーマに置いている。主な具体的研究テーマは以下のとおりである。

  • 微生物の発する環境応答シグナル物質、情報伝達シグナル物質の解明とその農業利用
  • 温室効果ガスN2O発生源となる脱窒細菌の生態とゲノムの解明とN2O発生抑制法開発
  • 甘味受容体探索のためのケミカルバイオロジー研究
  • 光反応性基ジアジリン誘導体の効率的合成とそれを用いた光アフィニティーラベルによる生理活性物質機能解析
  • 植物の環境ストレス適応機構における植物色素の機能

業績

業績微生物シグナル制御研究チーム業績


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