糖質加リン酸分解酵素の機能解析と改変

糖質の加リン酸分解を触媒する酵素は、糖質代謝に重要であるが、反応が可逆的であることから糖質の効率合成に利用できる。我々は、細菌由来の種々の糖質加リン酸分解酵素を研究対象とし、酵素化学的な手法を駆使して機能解析を進めている。また、本酵素を利用してより多様な糖質の効率合成を可能とするため、新たな基質特異性を持つ酵素の探索や既存酵素の基質特異性の改変を行っている。

オリゴ糖異性化酵素の機能解析と有用オリゴ糖合成への応用

セロビオース 2-エピメラーゼは、セロビオースの還元末端グルコースをマンノースに異性化する。本酵素は、セロビオースだけでなく、ラクトースにも作用してエピラクトースを生成する。エピラクトースは良好なプレバイオティクス効果を発揮する生理機能性糖質であり、新たな食品素材として大きな可能性を秘めている。我々は、エピラクトースの産業利用を目指して、工業的な反応条件でも利用可能な耐熱性酵素の探索、酵素の利用法について検討を進めている。

植物ホルモン代謝関連酵素の同定と機能解析

自ら動くことができない植物は周りの環境変化に対応するために様々な機構を備えている。この応答に植物ホルモンと呼ばれる低分子化合物が中心的なシグナル物質として働く。植物ホルモンの生理活性は、様々な代謝物への変換によりコントロールされているが、個々の代謝物を生じる酵素の多くは未同定である。我々は植物ホルモンの代謝酵素を同定し、生体内でどのように機能しているのか、生化学、生理学、分子生物学、有機化学といった様々な領域の手法を駆使して解析している。

主な研究テーマ

  • 糖質加リン酸分解酵素の機能解析と改変
  • オリゴ糖異性化酵素の機能解析と有用オリゴ糖合成への応用
  • 植物ホルモン代謝関連酵素の同定と機能解析

生物化学研究室では、植物と微生物を研究対象としており、生化学的実験手法をベースにしていますが、分子生物学や有機化学といった領域の手法も取り入れつつ研究を進めています。酵素活性の測定法から植物の形質転換、超微量化合物の精密測定といった多岐にわたる研究手法を身に付けることができます。

週に1回の全体でのセミナーでは、最新の文献紹介や研究の進捗の報告を行っています。その他、3、4人を1グループとした論文輪読会にて、各自の研究に関連した原著論文の精読を行っています。学外での研究発表にも積極的に取り組んでおり、大学院生(進捗によっては学部生も)には関連学会での発表を課しています。


住所

〒065-8589 札幌市北区北9条西9丁目

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研究室サイト

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