主な研究内容について

我が国および諸外国には多様な農業経営が存在しており、それは自然環境と社会経済環境への適応の結果にほかなりません。また農業経営を取り巻く環境は大きく変化することがあり、農業経営も新たな対応を迫られます。農業経営の多様性をふまえながら、その成長の方向と論理を解明する学問が農業経営学です。

農業経営学は、①土地・資本・労働力・経営者といった経営要素の特性、②経営要素の組み合わせによる経営組織の形成、③その運営・管理、④経営成果の分析と計画等の分野を基礎とする体系性をもちます。しかしそれらは確立した知識として認識すべきものではなく、現実の農業経営の動向やそこで生じる問題に対応して、絶えず内容の更新を迫られるものです。今日では、高い生産性と収益性を備えた農業経営の確立、個人や企業による農業経営の継承や創業、農業経営活動に対する地域支援、自然環境と調和した農業経営活動、持続的農村社会の形成に向けた農業経営の在り方、農業経営の成長に向けた農業政策といったテーマへの接近が重要です。

本研究室では近年、農業経営の世代交代に関する調査研究に力を注いでいます。農業後継者問題など、農業経営の世代交代が大きな問題を抱えていることは、以前から指摘されていました。一般的には、農業所得の低位性が若い世代の就農を阻んでいるので、規模拡大など、農業経営の近代化をはかるべきであると考えられてきましたが、近年は大規模経営でも世代継承の困難を抱えることが注目されています。実際、親族の中に後継者となる人材がいない経営が多数存在しているのです。その場合、親族以外の者に経営資源を譲渡しなければなりません。それは売買のような有償譲渡になりますが、大規模経営ほどその困難が増すことになります。また、技術・取引先・情報等の無形資源も大規模経営ほどその量と重要性が増し、世代継承に困難をともないます。更にこの問題をもう一段掘り下げると、大規模経営も家族によって営まれており、家族経営から企業経営への転換が進まないことが世代交代への対応の幅を狭めているという問題も存在しています。

これらは決して我が国に固有の事象ではありません。欧米やアジア諸国も共通する問題を抱えています。広い視野をもって農業経営の動向をとらえる必要があり、そこに農業経営学の面白さが存在します。その際、有力な武器となるのが地道なフィールド・ワークです。文献資料調査や統計分析によるラボ・ワークとともに、国内外の農村におけるフィールド・ワークを通した実証的研究を行うこと、ここに本研究室における研究方法の特徴があります。

主な研究テーマ

  • 農業経営の展開を支える地域農業支援システムのあり方に関する研究
  • 担い手育成と地域農業の構造再編に関する研究
  • グローバル化時代に対応した農業経営政策に関する研究

日頃の様子について

経営研究室では、毎週火曜日午前10時から、経営研究会を開催しています。経営研究会は、メンバーがそれぞれの研究内容について発表し、意見交換をする場となっています。月に一度開催される農業経営シンポジウムでは外部の研究者を大学に招き、学外との研究の交流を行っています。また、農村調査には学部生も同行し、研究室全体で取り組んでいます。




主な就職先・進路について

農林水産省、日本政策金融公庫、全農、農林中央金庫、明治、北海道大学大学院ほか


研究室名の変遷

  • 1946年:農業経営学講座→農業経済学第2講座
  • 1964年:農業経済学第2講座→農業経営学講座
  • 1992年:農業経営学講座→農業経営情報学講座
  • 2006年:農業経営情報学講座→農業経営学研究室

上記分野オリジナルサイトの問い合わせフォームをご利用下さい

農業経済学分野サイト

https://www.agr.hokudai.ac.jp/agecon/pwiki/