寒地大規模畑作研究ネットワーク

小麦なまぐさ黒穂病の効果的防除技術の開発

北海道小麦なまぐさ黒穂病対策コンソーシアム

プロジェクト名

「小麦なまぐさ黒穂病の効果的防除技術の開発」


参画機関

中央農業試験場、上川農業試験場、北海道農政部、食品加工研究センター、北海道農業研究センター、東神楽麦作組合

背景

道内でのなまぐさ黒穂病の多発

秋まき小麦の「なまぐさ黒穂病」は古くから発生が確認されていましたが、近年に至るまで戦後はほとんど発生記録が無い病害でした。しかしながら、平成28年、本病が北海道の広い範囲で発生しました。これによる廃耕面積は1,000haに達し大きな被害となりました。
国産小麦安定供給の危機

本病の特徴

本病は、いわゆるカビによる病害の一つであり、穂に特徴的な症状が現れます。すなわち、罹病した穂は麦粒の内部に黒褐色の粉状物(病原菌の胞子)が充満し、“生臭い”においを発します。また、罹病穂は麦粒の肥大に伴い、外側に開き毛羽だったように見える特徴があります。この一方で、健全穂に比較し罹病穂の稈長がやや短くなるため、ほ場内で発見しにくい病害です。
発病の特徴

発病による影響

本病は発生すると収量への影響もありますが、生臭いにおいが発生することから、罹病した麦粒が乾燥調整施設などに混入すると、健全な小麦にも異臭が拡大する可能性が懸念されています。
異臭麦の発生
集荷施設の汚染

研究の目的

以上のように、近年北海道でなまぐさ黒穂病の被害が拡大し今後も継続した多発の恐れがあることから、本病に対する有効な対策を確立することが急務となっています。
そこで、本研究課題では廃耕面積を1/3に低減することを目標として、多発要因の解明や効果的な防除技術の開発を行います。