生物機能化学科
バイオサイエンスとバイオテクノロジー
概要
バイオサイエンスとバイオテクノロジー,これらを共通のキーワードとして私たち生物機能化学科では最先端の教育と研究が行われています。本学科の研究分野は大変多岐にわたっています。すなわち,植物,動物,微生物などの生物の示す生命現象の発現機構に関わる基礎的研究を通じて,食糧,健康,資源エネルギー,環境など,いずれも 21 世紀に向けて人類の生存にきわめて重要な基本的な課題を解決しようというのが,私たちの大きなねらいです。本学科は,バイオテクノロジーなどを手段としたバイオサイエンスの担い手を育て,遺伝子から地球生態系までを研究対象として人類の生活の質の向上に貢献することを使命としています。
学科教育
皆さんは2年次進級と同時に生物機能化学科に分属したあと,3年次修了までの間,各専門分野について講義を通じて十分な理解を深めます。このためには,化学,生物学,英語等の十分な基礎学力が要求されます。英語は各分野の学術文献理解のためだけでなく,将来皆さんが研究室に所属したときには,海外からの留学生も多いので,お互いのコミュニケーションのためにも大切です。2年次後期から講義と並行して学生実験が始まります。3年次前期までの1年間,通常午後は毎日実験に割り当てられています。この間,皆さんは各分野についての専門性を深めていくことになります。3年次後期にはそれぞれの研究室への所属が決まり,講義を受けながら,一方では研究室の一員としての生活が始まります。4年次になると卒業までの一年間,本格的に卒業研究のテーマに取り組むことになります。
関連する研究室の紹介
植物栄養学研究室 - 植物の栄養生理を地球規模で探求する
地球上には養分が極端に少ない酸性土壌,半乾燥地域の塩類土壌,有機物が分解せずに残っている泥炭土壌などの分解せずに残っている泥炭土壌などの不良環境土壌が多く存在しています。これらの地域を保全・再生し,作物生産の向上を図るためには,これまでのような環境の人工的な改造ではなく,それぞれの環境に適応している植物の機能を有効利用することが必要です。このような考えに基づき,作物栄養学研究室では植物機能開発学との連携により,世界各国と共同して不良環境に適応している植物の調査や栽培試験を行っています。特に不良環境土壌では養分の供給力が問題となるので,植物の栄養生理が重要な研究テーマとなります。さらにその機能を強化するために,不良環境条件下での光合成,呼吸,窒素代謝,植物生育の制限要因となりやすいリンの吸収と代謝,毒性が強く不良土壌に多いアルミニウムやナトリウムに対する耐性メカニズムなどを生化学,遺伝子工学,植物形態学的手法を用いて研究しています。
根圏制御学研究室
植物の根の周囲や体内には様々な微生物が棲息し,植物の養分吸収やストレス耐性,発病などのプロセスにおいて重要な役割を果たしている。本研究室では,これら微生物の機能や生態を明らかにするとともに,その活動を制御し,持続的農業や環境修復に役立てるための技術研究を行う。
植物機能開発学研究室
植物機能開発学研究室では,生理機能に基づいた生育調整技術の開発,環境適応特性及び栄養物質利用特性に基づく生産機能の開発,緑地及び人工空間における植物の共存能力や有用性の開発などに関する教育研究を行っています。
土壌学研究室 - 大地を科学する
多くの生命現象の土台になっているのは文字通り土壌すなわち土です。土壌学研究室では土壌の機能を作物栽培(生物生産)の面からだけではなく,土壌圏としての物質の移動,大気圏,水圏までも含めた生態系での物質循環の視点からとらえ,自然の精巧な調節機構の解明や,環境問題を解明するための研究を行っています。そのため,土壌や土壌中の生物ばかりではなく土壌に接している植物,水,大気なども研究の対象となり,畑,森林,川,湖などフィールドでの調査研究が多いことも,この研究室の特徴といえます。一粒の土壌粒子の反応から,一枚の畑,ひとつの河川の流域,全地球規模の炭素,窒素循環まで,対象とするサイズもさまざまです。
生物有機化学研究室 - 有機化学が解き明かす自然の営み
生物有機化学研究室は,生物の営みを有機化学的に解明することにより,農業生産,環境問題にかかわっています。「なぜそういう現象が起きているのか」と不思議に思うことから研究は出発します。具体的には,生物の現象にかかわる有機化合物をクロマトグラフィーなどの方法により単一化合物として取り出す研究があります。この過程で,その現象を実験室内で再現させるさまざまなバイオアッセイ法が用いられます。化学構造の決定は,化学反応およびスペクトル解析により行われます。決定された構造が正しいことを明らかにするため,その化合物あるいは類似化合物を合成します。最後にその化合物がどのようにして生体内で合成されているのか,どのようにして生体内で機能して現象を発現しているのかが明らかにされます。このようなアプローチにより,日本だけでなく,東南アジア,インド亜大陸,アフリカ大陸で起きている食糧問題,環境問題の解明にも取り組んでいます。
生物化学研究室 - 有用酵素の科学と応用
生物の示す代謝反応はすべて酵素によって触媒されています。皆さんは発酵・醸造食品の製造に麦芽による糖化反応や酵母によるアルコール発酵など,植物や微生物に由来する酵素反応が利用されていることをご存知のことと思います。そして今,酵素の活躍分野は医薬品,洗剤などの化学製品,環境浄化などにも拡大しており,人類が健康で豊かな生活を送るために不可欠なものです。生物化学研究室では,この酵素を研究対象として生化学,分子生物学,遺伝子工学,蛋白質工学などの幅広い知識と手法を用いて,有用酵素の構造と触媒反応との関係を調べています。酵素の構造とは,遺伝子上の塩基配列に始まり,アミノ酸配列から高次機能に至るまでを意味しています。その情報を基に変異酵素を作製して,触媒反応の能力を向上させたり,有用な酵素遺伝子を植物に導入して,生産性の高いトランスジェニック植物の作出も試みられています。
応用菌学研究室 - 微生物バイオテクノロジー
「人間の生活に微生物を役立てる」ための研究を行っている。土や水,植物そして腸内から微生物を探索するところから,実用化までの広い分野である。学問分野としては,分類学,生態学,生化学,代謝生理学,遺伝学,生産技術の基礎,あるいは防除技術。応用分野としては,医薬,食品,リサイクル,農業,環境保全などである。
微生物生理学研究室 - 微生物バイオテクノロジー
微生物発酵による有用物質生産の効率化や,新規酵素変換反応プロセスの開発に資する基盤情報を得ることを目的として,微生物代謝機能の制御,新機能の開発に関する教育研究を行う。
食品栄養学研究室 - 食と健康を科学する
食品栄養化学研究室では,どのようにして体が食品成分を認識し消化酵素を分泌するのか,ある食品成分の過剰摂取は脂質代謝をどのように変えるのか,脂質成分の構造がその消化吸収や生理作用にどのように影響するのか,ミネラル吸収や利用性に対して他の食品成分はどのような影響を与えるのか,食物繊維などの摂取が大腸ガンの発生を抑えるメカニズムはどのようなものか,などのテーマについて神経,ホルモン,さらには免疫系の関与を考慮しながら研究しています。食品機能・栄養に関する研究は,農学と医学の境界領域の研究であり,実験動物や培養細胞を用いた生化学,分子生物学,免疫組織化学的解析や,有機化学的手法による新規化合物の単離・構造決定などの幅広い手法を用いて行われています。
食品機能化学研究室 - 食と健康を科学する
近年,高齢化社会の到来と共に,従来のように病気になってから薬で治すのではなく,食習慣によって病気を予防し,進展をコントロールするという考え方が重視されています。従って食品成分と体の関わり合いを研究することはますます重要になっています。食品機能化学研究室では食品に含まれる抗酸化物質や各種酵素阻害物質など健康の維持・増進に寄与するような新しい成分を発見したり,食環境が消化管の機能にどのような影響を及ぼすのかを究明することを目的に研究しています。

[