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2017.01.10

米国の子供向け科学雑誌に植物共生微生物の生態と適応に関する論文が紹介されました(根圏制御学研究室)

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 酸性土壌では、アルミニウムイオンの毒性により植物の根の伸長が阻害され、養水分吸収が妨げられるために植物はうまく定着できません。しかし、根に「菌根菌」と呼ばれる糸状菌(カビ)が共生すると、障害を受けた根に代わって土壌から養水分を吸収して植物に供給するため、植物の生存率や生長が飛躍的に向上します。しかし、酸性土壌で活躍する菌根菌の生態については、良くわかっていませんでした。

 我々は北海道〜沖縄に分布する様々なpHの土壌を採取し、菌根菌の種分布とpHとの関係を調査すると共に、強酸性〜中性にpH調整した土壌を用いて菌根菌群集の反応を実験的に調べました。当初、我々は酸性土壌に棲息する「耐酸性菌」群は、高度に酸性土壌に適応したスペシャリストであるとの仮説を立てていましたが、実際に見つかったのは、中性土壌に棲息している菌群の一部、すなわち広い範囲のpHに適応したジェネラリスト(万能選手)であることがわかりました。耐酸性を持つ菌根菌が土壌pHに関わらず広く分布しているということは、急な環境変化--例えば火山の噴火や土砂災害、人為的撹乱--によって酸性土壌が生じても、菌根菌全体が死滅することはなく、一部のジェネラリストが生き残って植生を迅速に回復させることができることを意味します。

 今回、本成果が米国で子供向けに環境科学分野の先端研究を紹介しているオンライン雑誌の編集部の目に止まり、子供向け(主に中高校生レベルを対象)に編集され、教員用の教材やビデオクリップと共に公開されました。リンクおよびダウンロードは自由ですので、教材としてもご活用いただけると幸いです。

子供版
Kawahara et al. (2017) How special do you have to be to live in acidic soil? Environmental Science Journal for Teens.

オリジナル論文
Kawahara et al. (2016) PLoS ONE 11: e0165035. doi: 10.1371/journal.pone.0165035

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