はじめに
“食品機能化学”とは
食品の機能とはなんでしょう。栄養素として体をつくり、エネルギーとなって生命を支える機能、まずこれが第一です。また、食べるという大きな楽しみにかかわる味、香り、色、物理性などの第二の機能、これも忘れてはいけません。しかし、おいしくて栄養があるものは食品として理想的ではありますが、それだけでは健康的な生活にはつながりません。生活習慣病といわれる、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの主要因は食生活ですし、ガンもかなりの部分が食品に由来するといわれています。食品アレルギーも重要な問題です。食品にはこのような体の生理機能を調節する働きがあり、これを第三の機能といいます。そして、現在もっとも関心をもたれ、活発に研究されているのが食品のもつこの生体調節機能です。
赤ワインが心臓病の予防にいい、ココアが体にいい、トウガラシはダイエットに効く、などなどマスコミで食品の機能に関する話題が取り上げられない日はない、といってもいいでしょう。巷に出回っている数限りない健康食品。不況にもめげずにその売上は右肩上がりで、2000年には1兆3千億円にも達したと言われています。テレビで宣伝していた、たくさん売れているそうだ、誰それも効いたって言っていた、じゃやっぱり体にいいのかも、買ってみようかな、と思ったことありませんか。
でも、ちょっと待ってください。きびしい審査を経て認可されている医薬品だって100%効くものはありません。まして特定保健用食品など一部を除いて公的な保証の一切ない健康食品が、そんなに誰にでも効果のあるものなのでしょうか。
テレビ、雑誌、新聞、インターネットなどを通じて宣伝されている健康食品。その中にはきちんとした研究成果に基づいてある程度の効果が実証されているものもありますが、実際のところ科学的な検証もなく、単なる体験談や伝聞、イメージなどに基づく商品が大多数です。
食品の中に含まれる特定の成分が、食べたときに体内に吸収されてある臓器なり組織に運ばれ、そこで何らかの生理作用を及ぼす。そのステップは非常に複雑であり、それを明らかにするには長い地道な研究が必要です。食品機能化学は化学的な方法論によって食品のもつ機能性を明らかにし、科学的に実証された真の機能性食品につなげる新しい学問分野です。
橋久仁子、“「食べもの情報」ウソ・ホント”、講談社ブルーバックスB1231、1998、ISBN4-06-257231-1
坪野吉孝、“食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか”、文春新書242、2002、ISBN4-16-660242-X
瀬川至郎、“健康食品ノート”、岩波新書新赤版773、2002、ISBN4-00-430773-2